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二項関係

二項関係は、項数が2である特別な種類の関係です。典型的な二項関係には、例えば「より小さい」、等号、「割り切る」、「より大きい」などがあります。

例

二項関係は、よく出てくる典型的な関係の一つです。また、いくつかおもしろい性質をもっているので、ここで紹介します。

二項関係の例としては、「父と息子」という関係、「乗り物と車輪の数」という対、もっと一般的な「ものとその性質」という対があげられます。ものを動物とすれば、性質として足の数、平均寿命、頭の毛の本数などが考えられます。

集合 M1 と M2 の間の二項関係 R は、R ⊆ M1 × M2 と定義できます。つまり、二項関係は対の集合で、この集合は、関係を考える2つの集合の直積の部分集合です。例えば、「父と息子」という関係は、すべての人の集合どうしの間の関係とも、日本に住むすべての人の集合どうしや東京に住むすべての人の集合どうしの間の関係とも考えられます。集合を別の方向に制限することもできます。例えば、この関係を人全体ではなく、すべての男性の集合どうしの間で定義するといってもかまいません。

二項関係には、ふつう特別な書き方を使います。(a, b) ∈ R と書くかわりに、aRb と書くことができます。例えば、(3, 1) ∈ > のかわりに 3 > 1 と書けます。ほかの関係でも同じです。つまり、aSb という書き方は (a, b) ∈ S と同じ意味です。

逆関係

逆関係とは、もとの関係を逆向きにした関係です。(補関係と混同しないように注意しましょう。)「より小さい」という関係を逆にした関係は何でしょうか。「より大きい」です。「より小さい」という関係が要素 (4, 7)、つまり 4 < 7 を含むなら、逆の要素は逆向きの 7 > 4 になります。逆関係には、逆にした対 (7, 4) が入ります。

関係 R ⊆ M1 × M2 があるとき、逆関係 R−1 は、すべての要素 (a, b) ∈ R をとり、それを逆にしたものを R−1 に入れてつくります。つまり、関係 R が要素 (a, b) を含むなら、関係 R−1 は要素 (b, a) を含まなければなりません。逆も成り立ちます。R−1 が要素 (b, a) を含むなら、関係 R は要素 (a, b) を含まなければなりません。

定義として書くと、関係 R−1 が R の逆関係であるのは、次が成り立つとき、かつそのときに限ります。

∀a∈M1∀b∈M2:(a,b)∈R⇔(b,a)∈R−1

例えば、6 < 8 が成り立つのは、8 > 6 が成り立つとき、かつそのときに限ります。ほかの対でも同じです。

関係の合成

二項関係どうしは合成することができます。2つの関係を考えます。1つ目の関係 R は「息子の父である」、2つ目の関係 S は「姉妹の兄弟である」とします。関係 R には対 (父, 息子) が入り、2つ目の関係には対 (兄弟, 姉妹) が入ります。

ここで、2つの関係を合成してみましょう。新しい関係ができます。これを R ∘ S で表します。この関係が要素 (a, c) を含むのは、(a, b) ∈ R かつ (b, c) ∈ S となる要素が存在するとき、かつそのときに限ります。どちらの要素にも b が出てくることに注意しましょう。一方では対の2番目に、もう一方では対の1番目に出てきます。これが、合成で2つの関係をつなぐ要素です。

例:R = {(拓也, 翔太), (大輝, 健太)}、S = {(翔太, さくら), (翔太, 美咲), (健太, 結衣)} とします。拓也は翔太の父で、大輝は健太の父です。翔太には姉妹のさくらと美咲がいて、健太には姉妹の結衣がいます。

では、関係を合成して R ∘ S をつくりましょう。R の対のうち、息子の位置に、関係 S で兄弟として出てくる人がいる対を探します。例えば、(拓也, 翔太) と (翔太, さくら) の2つの対です。翔太はつなぎの要素なので、これ以上は必要ありません。残りの名前で新しい対 (拓也, さくら) をつくります。つまり、関係 R ∘ S は対 (拓也, さくら) を含みます。翔太にはもう一人、姉妹の美咲がいるので、これも合成した関係に加えます。(拓也, 美咲) です。最後に、息子の健太が残っています。健太には姉妹の結衣がいます。この2つの対 (大輝, 健太) と (健太, 結衣) から、もう一つの要素 (大輝, 結衣) ができます。

結果は、関係 R ∘ S = {(拓也, さくら), (拓也, 美咲), (大輝, 結衣)} です。この関係にはどんな名前をつければよいでしょうか。おそらく「娘の父である」でしょう。

もう一度、定義をまとめて書きます。

(a,c)∈(R∘S)⇔∃b(a,b)∈R∧(b,c)∈S

注意:逆の書き方をすることもあります。つまり、同じ定義に対して R ∘ S のかわりに S ∘ R と書くことがあります。

章: 関係, 関係の演算, 二項関係, 集合上の二項関係, 同値関係, 順序関係, 束