✖

二項定理

二項定理は、(a + b)2 のようなおなじみの公式を、場合の数の考え方を使って一般化したものです。

はじめに

(a + b)2 や (a + b)3 を計算する公式は、きっと知っているでしょう。

(a+b)2=a2+2ab+b2(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3

これらの公式を、どんな自然数 n についても使えるように一般化できないか、つまり (a + b)n を計算できないか、という疑問が自然にわいてきます。

導き方

もちろんできます。そのためにあるのが二項定理です。n = 4 と n = 5 について、展開がどうなるかを見てみましょう。

(a+b)4=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4(a+b)5=a5+5a4b+10a3b2+10a2b3+5ab4+b5

もう、ある規則が見えてきたでしょう。式 (a + b)n を展開すると、右辺はいつも項 an から始まります。2番目の項にも文字 a が含まれますが、指数は1小さくなります。たとえば、(a + b)4 の展開では、右辺の1番目の項に a4、2番目の項に a3 があります。その後の項も、文字 a の指数が前の項より1ずつ小さくなります。反対に、文字 b の指数は大きくなっていきます。はじめの項には b がありません。正確に言えば、指数が0の b0 = 1 があります。2番目の項では b の指数が1、その次は2、というように続きます。

このとき、指数の和はいつも n になる、という簡単な規則が成り立ちます。最後の展開 (a + b)5 を見ると、たとえば3番目の項は 10a3 · b2 で、文字 a と b の指数の和は5です。

最後に残るのは、各項の係数(文字の前にある数)がどうなるかです。係数が左右対称になっていることに、きっと気づくでしょう。(a + b)4 の係数は 1, 4, 6, 4, 1、(a + b)5 の係数は 1, 5, 10, 10, 5, 1 です。なお、a4 = 1 · a4 なので、式には書いていなくても、係数として1を数えています。もう1つの関係は、パスカルの三角形で見てみましょう。

パスカルの三角形

パスカルの三角形は、二項定理で展開を計算するときに便利な道具です。パスカルの三角形は数でできていて、ある2つの数の下にある数は、その2つの数の和に等しくなります。言葉で書くとややこしいですが、三角形そのものを見ればすぐにわかります。

パスカルの三角形

たとえば、4という数を見てください。この数の上には、1と3があります。そして、1+3はたしかに4です。ほかの数も同じです。

では、パスカルの三角形をどのように使うのでしょうか。各段の数を見ると、二項展開の係数にとてもよく似ていることに気づくでしょう。たとえば、(a + b)2 の係数は 1, 2, 1 で、これは2段目とまったく同じです。(a + b)4 の係数は 1, 4, 6, 4, 1 で、これは4段目とまったく同じです。(a + b)n を計算したいときは、パスカルの三角形の n 段目を見ればよいのです。

二項定理の定義

二項定理は、正式には次のように書けます。

(a+b)n=∑k=0nnCkan−kbka,b∈R;n∈N

和は、0から n まで(両端を含めて)とります。したがって、項の個数は n + 1 です。和の中の組合せの記号は、場合の数で学ぶ組合せの総数で、二項展開のその項が何通りの選び方から得られるかを表します(二項係数ともいいます)。残りは、それぞれの指数がついた文字だけです。指数の和が、たしかに n になることに注目しましょう。n − k + k = n です。

例

簡単な例として、二項定理を使って (a + 2b)4 を計算してみましょう。はじめに、パスカルの三角形の4段目を見ます。係数は 1, 4, 6, 4, 1 になることがわかります。あとは、順に指数を入れていくだけです。1番目の項は a4 だけです。

(a+2b)4=a4+…

2番目の項では、指数の組は 3, 1 なので、a3(2b)1 になります。1乗しても式は変わらないので、a32b と書けます。2番目の項の係数は4です。

(a+2b)4=a4+4a32b+…

3番目の項の指数は 2, 2 です。ここで少し注意が必要です。2乗するのは 2b 全体で、(2b)2 となり、(2b)2 = 4b2 です。係数6をつけて、展開に書き加えます。

(a+2b)4=a4+4a32b+6a24b2+…

4番目の項は a(2b)3 の形になります。累乗を計算すると a8b3 です。係数4をつけて書き加えます。

(a+2b)4=a4+4a32b+6a24b2+4a8b3+…

最後の項は (2b)4 = 16b4 だけです。

(a+2b)4=a4+4a32b+6a24b2+4a8b3+16b4.

あとは少し整理するだけです。項 4a32b では、2を項の先頭に移して 2 · 4 = 8 とかけられます。すると 8a3b になります。残りの項も同じようにすると、次の結果が得られます。

(a+2b)4=a4+8a3b+24a2b2+32ab3+16b4.

この段階では、係数がもうパスカルの三角形の数と一致していないことに注意しましょう。

参考リンク