統計の基礎
統計学は、現実のデータを調べ、確率論の助けを借りてそのデータを記述しようとする学問です。
統計のための独立したセクション
これは古い記事で、内容も最新ではありません。統計には独立したセクションがあり、入門記事は統計の基本用語です。
基本用語
統計では、いくつかの基本用語を使います。ここでそれを説明します。
まずは統計集団です。これは、調べたいデータの有限集合です。データは一般的なもので、基本的には何でもかまいません。日本の平均給与を調べたいなら、統計集団は日本にいるすべての人の集合になります。統計集団の要素の個数を、集団の大きさといいます。ここで決めた統計集団の大きさは、日本の人口に等しくなります。
次に、個体という用語があります。これは、統計集団の1つ1つの要素です。この例なら、個体は具体的な1人の人です。
最後に、変量があります。これは、測りたいもののことです。この例なら、変量は給与です。変量には、質的変量と量的変量があります。量的変量は、数で表せる変量です(たとえば、さきほどの給与や、身長、子どもの数など)。質的変量は、言葉で表せる変量です(色、はい/いいえ、職業など)。
度数
度数には、相対度数と絶対度数があります。度数は、ある変量の値が統計集団の中にいくつあるかを表します。その個数をそのまま表すのが絶対度数、集団の要素の総数に対する割合で表すのが相対度数です。
大切なのは、度数を数えるときには変量の値に注目しなければならないことです。個体の絶対度数を求めようとしても、かならず0か1になってしまいます。統計集団は集合であり、集合にはそもそも同じ要素が2つ以上入ることはないからです。
つまり、変量の値 z の絶対度数は、統計集団 S の中に値 z がいくつあるかを表します。例を見てみましょう。生徒が10人のクラスがあるとします。どの生徒も、通知表で数学の評定(1〜5)をもらいました。評定は次の表のとおりです。
注:この例の統計集団は、この10人のクラスメートです。次のように書けます。
簡単にするために、表の1行目には生徒の番号を書きました。つまり、1行目は個体、すなわち統計集団の要素です。2行目は変量の値、すなわち各生徒の「数学の評定」の値です。
すると、変量(通知表の評定)の値 z = 3 の絶対度数は2です。評定3をもらったのは2人だけです(番号3と10の生徒)。値 z = 5 の絶対度数は3です(番号5、6、9の生徒)。
相対度数は、統計集団の変量の値のうち、何パーセントが値 z に等しいかを表します。値 z の相対度数は、次のように計算します。
ここで za は値 z の絶対度数、|S| は統計集団の大きさ、つまり要素の個数です。この例では、評定3の相対度数は次のようになります。
クラスの生徒は10人なので、集団の大きさは10です。100をかければパーセントで表せるので、20%になります。評定5の相対度数は次のとおりです。
相加平均
相加平均(算術平均)は、単に平均値ともいい、統計集団のすべての値の平均です。ここでいう値とは、変量の値のことです。平均は、すべての値をたして、集団の値の個数で割って求めます。式で書くと、次のようになります。
和の記号を使った書き方も加えておきました。こちらのほうが読みやすいと感じる人もいるでしょう。しかし、前の分数の式だけで十分です。x は集団のすべての値を表します。
例:前の表のデータを使って、生徒1人あたりの評定の平均を計算してみましょう。
このクラスの評定の平均は3.6です。このように、相加平均は、実際にはありえない値になることもあります。評定3.6をつけることはできません。
また、データの一部がほかとまったくちがう値のときも、相加平均はあまり役に立ちません。たとえば、値が1, 3, 2, 5, 4, 2, 75の集団なら、相加平均は次のようになります。
結果は、集団のどの値からも遠く離れています。はじめの6つの数より何倍も大きく、最後の値より何倍も小さいのです。これは、たとえば中央値で解決できる問題です(後で説明します)。これで、平均給与に届かない人がとても多い理由もわかります。給与が平均よりずっと高い少数の人たちがいて、その人たちが相加平均を引き上げているのです。
相乗平均
相乗平均(幾何平均)は、相加平均と同じように計算しますが、たし算のかわりにかけ算を、割り算のかわりに累乗根を使います。つまり、相乗平均は次のように計算します。
相乗平均は、増加の目安として使えます。たとえば、ある商品の値段が、1年目に10%、次の年に15%、その次の年に5%上がったとします。もとの値段 c は、この3年で次のようになりました。
これらの倍率の相乗平均は、次のとおりです。
これはどういう意味でしょうか。値段に毎年1.0992419をかけていった(つまり毎年およそ9.92%ずつ上がった)とすると、最後の値段は同じになる、という意味です。
最頻値と中央値
最頻値(モード)は、度数がいちばん大きい値で、Mod(x) と書きます。評定の例にもどると、最頻値は4と5です。どちらもいちばん多く出てくる値で、絶対度数は3です。
中央値(メジアン)は、まん中の値で、Med(x) と書きます。値を、減少しない数列
の形にならべられるとき、中央値は、この数列のまん中にある値です。まん中の値の決め方は、数列の項の個数が奇数か偶数かでちがいます。奇数なら、中央値は次の位置にある項です。
数列の項の個数が偶数なら、ちょうどまん中にある項はありません(例:数列1, 2, 3, 4には、まん中の項がありません)。そこで、まん中の2つの値の平均(2と3の平均)をとります。式で書くと、n が偶数のときは次のようになります。
相加平均がうまく使えない例にもどりましょう。値の集団は、s=1, 3, 2, 5, 4, 2, 75でした。最頻値は2です。くり返し出てくる数は2だけだからです。中央値を求めるために、数を順にならべて数列にします。
数列の項は7個なので、まん中の項は a4 で、その値は3です。