トラクテンバーグ・システムによる速い足し算
トラクテンバーグ・システムの足し算は、いくつかの数をすばやく足し、そのあと別の手順で計算が正しいかどうかを確かめる方法です。この方法を考え出したのは、ロシア出身の数学者ヤコフ・トラクテンバーグです。例を使って説明しましょう。次の3つの数を足してみます。
まず、数を次のように縦に並べて書きます。
次に、右の列から順に各列を足していきます。ここで注目するのは、和が11以上かどうかです。最初のステップでは、いちばん右の列を足します。つまり 1 + 5 + 2 = 8 です。この結果は11より小さいので、そのまま線の下に書きます。
2番目のステップでは、右から2番目の列を足します。つまり 5 + 7 + 6 = 18 です。トラクテンバーグ・システムでは、和が11以上になったら、和から11をひき、それを何回したかを覚えておきます。18は11より大きいので、18 − 11 = 7 を計算します。7を線の下に書き、11を1回ひいたので、そのことを1行下に書いておきます。
いちばん右の列にもどると、和は8だったので、11は1回もひく必要がありませんでした。そこで、表に0を書き加えます。
続いて右から3番目の列を足します。5 + 3 + 2 = 10 です。10という数に驚く必要はありません。11より小さいので、そのまま線の下に書きます。11をひく必要はなかったので、その下に0を書きます。
最後に右から4番目の列、つまり左端の列を足します。9 + 7 = 16 で、これは11より大きくなります。そこで 16 − 11 = 5 を計算し、11を1回ひいたことを覚えておきます。そのまま5に3行目の数を足して、5 + 9 = 14 を計算します。14も11より大きいので、14 − 11 = 3 を計算します。この結果を線の下に書き、11を2回もひいたことも書いておきます。
線の下の結果に、0が2つ並んだ列をもう1つつけ加えておきます。あとで役に立ちます。
トラクテンバーグ・システムで答えを求める
もう1本横線を引き、途中の結果の2行を足していきます。まず 8 + 0 = 8 を計算し、結果を線の下に書きます。
ここからは少し複雑になり、「L」の字の形に並んだ数を足していきます。右から2番目の列の2つの数に、その右の列の2つ目の数を足します。つまり 7 + 1 + 0 = 8 を計算します。
次に、10 + 0 + 1 = 11 を計算します。ここからはふつうの足し算と同じです。一の位の1だけを書き、十の位は次の列へくり上げます。
次の列では 3 + 2 + 0 + 1 = 6 を計算します。最後の1は、前の列からくり上がった1です(くり上がった10ごとに、ここで1を足します)。
ここで、ようやく0が2つ並んだ列を使います。この列は、最後の足し算 0 + 0 + 2 = 2 を忘れないためだけにあります。
これが、トラクテンバーグ・システムで求めた答えです。つまり、
途中の結果を確かめる
トラクテンバーグ・システムのよいところは、計算全体をやり直さなくても、計算が正しかったかどうかを比較的簡単に確かめられることです。トラクテンバーグは、途中の結果と最終的な答えを、まったく別の手順で確かめる方法を見つけました。トラクテンバーグ・システムで和を求め、さらにこの検算もすれば、計算が正しいとかなり自信をもてます。では、この答えが正しいことを確かめてみましょう。
計算全体は3つの部分に分けられます。足し合わせる数、途中の結果、答えです。
最初の段階では、途中の結果が正しく計算できたかどうかを確かめます。そのために、各列の数字根を求めます。数字根は、数の各位の数字をすべて足して求めます。例えば、456の数字根を求めるには、4 + 5 + 6 = 15 を計算します。結果が9より大きいときは、もう一度各位の数字を足します。つまり、さらに 1 + 5 = 6 を計算します。こうして、456の数字根は6になります。
では、足し合わせる数にもどって、いちばん右の列の数字根を求めます。つまり、152の数字根を求めるので、1 + 5 + 2 = 8 を計算します。
次に、右から2番目の列、つまり576の数字根を求めます。5 + 7 + 6 = 18 で、さらに 1 + 8 = 9 になります。
右から3番目の列では 5 + 3 + 2 = 10 になり、2けたの数なので、さらに 1 + 0 = 1 を計算します。
左端の列では 9 + 7 + 9 = 25 で、さらに 2 + 5 = 7 になります。
求めた数字根を並べると7198になります。次に、途中の結果を見てみましょう。
2行目をコピーして最後に加え、2行目が2回並ぶようにします。
ここで、足し合わせる数のときと同じことをします。各列を1つの数と考えて、その数字根を求めます。ここでも右から始めると、8 + 0 + 0 = 8、次の列は 7 + 1 + 1 = 9、その次は 10 + 0 + 0 = 10 で、さらに 1 + 0 = 1、最後は 3 + 2 + 2 = 7 になります。
ここで、数字根の結果をくらべます。足し合わせる数の数字根は7198で、途中の結果の数字根も同じ7198になりました。したがって、計算は正しかったことになります。もし結果がちがっていたら、どこかでまちがえています。検算のときか、足し算そのもののどちらかです。
答えを確かめる
答えが正しく計算できたかを確かめるのは、ここまで来れば簡単です。答えの数字根と、求めた数字根を並べた数の数字根を計算し、それらが一致すればよいのです。まず、答え 26,188 の数字根を計算します。
次に、求めた数字根を並べた数、つまり7198の数字根を計算します。
どちらの数字根も7になりました。検算はうまくいったので、計算は正しかったことがわかります。