✖

分散

分散は、データの値がどれくらい散らばっているかを表す数です。英語では variance といいます。

分散とは

次の表は、中学2年B組から選んだ10人の生徒の通知表の評定(5段階、5が最高)です。ここでは数学と社会の二つの教科を見てみます。

名前 数学 社会
翔太 4 2
健太 5 5
大輝 4 5
拓海 4 5
さくら 4 3
美咲 5 2
蓮 4 1
悠斗 4 5
陽菜 4 4
太郎 3 2

数学はほとんどの生徒が4で、ときどき5や3の生徒がいる程度です。一方、社会の列はかなりばらばらです。評定は1から5まで散らばっていて、特に多い評定もありません。社会の評定は、数学の評定よりも散らばりが大きいといえます。

数学の評定の平均値を計算すると4.1になります。ほとんどの値が、この平均値のかなり近くにあることがわかります。これに対して、社会の平均値は3.4ですが、ほとんどの評定はこの値の近くにありません。

この散らばりの大きさを、数で表すにはどうすればよいでしょうか。

分散の求め方

前の表のデータをグラフに表し、社会の評定だけを示します。

社会の評定

x 軸は生徒です(今度は名前がないので、1が翔太、2が健太、というように番号で表します)。y 軸は評定です。直線 y = 3.4 が平均値を表します。

分散は、平均値からの距離(偏差)の2乗の平均値として求めます。難しそうに聞こえますが、実は簡単です。x の2乗は、1辺の長さが x の正方形の面積と考えることができます。そこで、グラフに、値と平均値の距離を1辺とする正方形をかいてみます。

平均値からの距離を1辺とする正方形をかいたグラフ

グラフには、このような正方形を四つだけかきました。全部はかききれないからです。さくらさんは平均値にかなり近いので、正方形は小さくなっています。一方、蓮さんは平均値から遠いので、正方形が大きくなっています。すべての正方形をかいて、その面積の平均を求めれば、それが分散です。

データの値 X = [x1, …, xN] があり、その平均値を x― とします。分散を Var(英語の variance の略。日本の教科書では、データの分散を s²、確率変数 X の分散を V(X) と書きます)で表すと、分散は次のように計算できます。

Var(X)=1N((x1−x―)2+(x2−x―)2+…+(xN−x―)2)

和の記号 Σ(シグマ)を使うと、次のように書けます。

Var(X)=1N∑i=1N(xi−x―)2

なぜ (x1−x―)2 なのでしょうか。式 x1−x― だけでも、値 x1 と平均値の距離を表します。正確には |x1−x―|(絶対値)と書くべきです。x1 が平均値より小さい場合もあるからです。ここでは正方形の面積を求めたいので、この値を2乗します。

このデータの分散は次のようになります。

Var(社会)=110((2−3.4)2+(5−3.4)2+(5−3.4)2+(5−3.4)2+(3−3.4)2+(2−3.4)2+(1−3.4)2+(5−3.4)2+(4−3.4)2+(2−3.4)2)=110⋅22.4=2.24

分散は2.24です。数学の評定の分散は次のようになります。

Var(数学)=110((4−4.1)2+(5−4.1)2+(4−4.1)2+(4−4.1)2+(4−4.1)2+(5−4.1)2+(4−4.1)2+(4−4.1)2+(4−4.1)2+(3−4.1)2)=110⋅2.9=0.29

分散は0.29です。予想どおり、こちらのデータの分散はずっと小さくなりました。

Excel での分散の求め方

Excel では、VAR.P などの関数を使います。例えば VAR.P の引数に、データの入ったセル範囲を指定します。