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確率分布

確率変数の確率分布は、確率変数がある値をとる確率がそれぞれどれだけかを表します。

離散型確率変数の分布

離散型確率変数の例として、ジュースが大好きな近所の健太さんが1日にコップ何杯のジュースを飲むかを調べてみましょう。健太さんを1か月観察して、次の表をつくりました。

日 ジュース(杯) 日 ジュース(杯) 日 ジュース(杯)
1日 5 11日 10 21日 4
2日 10 12日 5 22日 6
3日 4 13日 12 23日 10
4日 4 14日 10 24日 10
5日 5 15日 12 25日 4
6日 4 16日 12 26日 5
7日 0 17日 6 27日 10
8日 5 18日 10 28日 5
9日 4 19日 6 29日 0
10日 5 20日 10 30日 10

月の初めのうち、健太さんはまだ少し控えめでしたが、そのあとは1杯また1杯と飲み続けました。11日からの1週間は、とんでもない飲みっぷりだったに違いありません。この離散型確率変数を X とします。ここで知りたいのは、ある1日に健太さんがジュースを x 杯飲む確率です。

確率を計算する前に、まず度数のグラフをつくります。健太さんが1日に飲んだ杯数をすべて調べて、度数のグラフに表します。例えば、10杯飲んだ日は全部で9日あるので、10杯のところには高さ9の棒をかきます。

例えばこのグラフから、健太さんが6杯飲んだ日は1か月のうち3日だったことが読み取れます。

健太さんがある1日に10杯飲む確率はどれだけでしょうか。式で表すと、確率を P で表し、10杯飲む確率を P(X = 10) と書きます。これは「確率変数 X が10という値をとる確率はどれだけか」という意味です。

この確率は、その値の相対度数に等しくなります。そこで、相対度数のグラフもつくりましょう。

これで、P(X = 10) は 0.3、つまり30%だとわかります。

統計的確率と数学的確率

例として、ふつうのさいころを考えます。このさいころを600回投げてみましょう。古典的な数学的確率の考え方では、1の目、2の目、…、6の目が出る確率はどれも同じです。どの目も出る確率は 16 です。理論上は、さいころを600回投げれば、どの目もちょうど100回ずつ出るはずです。

もちろん、実際にはまずそうなりません。実験では、例えば次のような結果が得られます。

さいころの目 出た回数 相対度数
1 105 0.175
2 103 0.171666
3 90 0.15
4 96 0.16
5 100 0.16666
6 106 0.17666

1の目が出た相対度数、つまり統計的に求めた確率は0.175、すなわち17.5%です。これは確率 16、つまり 0.16666… に近い値ですが、完全には一致しません。

これは、どちらかの確率がまちがっているという意味ではありません。完全につり合いのとれたさいころをつくるのは簡単ではありませんし、さいころを600回投げる実験そのものも、正確に行うのは難しいかもしれません。

数学的確率は、さいころを限りなく多く投げるという理想的な条件のもとで成り立つものです。完全につり合いのとれたさいころを投げる回数を増やせば増やすほど、それぞれの目の相対度数は理論上の数学的確率に近づいていきます。

そのため、確率を二つに分けて考えます。理想化された条件から求める数学的確率と、データの相対度数から求める統計的確率(経験的確率ともいいます)です。

統計的確率を求めるには、十分に大きなデータが必要です。例えば、ジュース好きの健太さんは1か月しか観察しませんでしたが、少なくとも1年は観察したほうがずっとよかったでしょう。

連続型確率変数の分布

連続型確率変数では、ある1点での確率は考えず、常に区間での確率を考えます。確率は曲線の下の部分の面積に等しくなるので、計算には積分が必要です。例えば、ある誤差を cm 単位で測定したときの連続型確率変数のグラフは、次のようになります。

連続型確率変数の確率分布

x 軸は cm 単位の値、y 軸は相対度数です。測定した値はすべて区間 [−4, 4] に入っていたとします。すると、誤差がこの区間に入る経験的確率は1、つまり100%です。

これが面積とどう関係するのでしょうか。面積 ∫−44p(x) がこの100%を表すと考えます(p は確率密度関数です)。値が区間 [0, 4] に入る経験的確率を考えると、次の図のようになります。

x \in \left[0, 4\right] となる経験的確率を表す図

前の図で色をつけた部分は100%にあたり、今回の部分は50%にあたります。面積が明らかに半分だからです。正確には、統計的確率は次の比で表せます。

∫04p(x)∫−44p(x).

大数の法則

前の節と関係するのが、よく知られた大数の法則です。大まかにいうと、独立な試行を何回も繰り返すと、相対度数(統計的確率)は数学的確率に近づいていく、という法則です。

ここでもコイン投げで考えてみましょう。コインを投げると表か裏が出て、どちらの確率も 12、つまり50%です。コインを4回投げると、表が3回、裏が1回出ることがあります。このとき相対度数は 34 と 14 です。これは 12 からかなり離れています。

10回投げると、表が7回、裏が3回出ることがあります。相対度数は 710 と 310 です。まだ 12 から離れていますが、前の相対度数よりは2分の1に近くなっています。

同じように続けることができます。コインを1,000回投げると、表が520回、裏が480回出ることがあります。相対度数は 1325 と 1225 で、2分の1にかなり近づきました(参考までに 1325=0.52 です)。

ここで注目したいのは、相対度数は2分の1にずっと近づいているのに、度数そのもの(回数)は「理想的な」度数からかえって大きく離れていることです。コインを10回投げたとき、理想的な度数はどちらの面も5回、つまり表が5回、裏が5回です。表は7回出たので、差は 7 − 5 = 2 で2回です。理想的な場合より「2回ずれた」ことになります。

一方、コインを1,000回投げたときは、表が520回出ました。理想的にはどちらの面も500回ずつ出るはずなので、差は20回です。投げる回数を増やすほど、結果が理想から離れていくようにも見えます。

しかし、これは問題ありません。大数の法則は、度数そのものが理想に近づくとはいっていません。近づくのは相対度数で、実際に相対度数は近づいています。つまり、度数そのものの差は広がることがあっても、相対度数の差は小さくなっていくのです。