比
比は、ふつう材料 A と材料 B をどんな割合で混ぜるかを表すときに使います。例えば、材料 A を B の2倍にするのか、半分にするのか、といったことです。もちろん、材料が二つとはかぎらず、三つ以上の材料の比を考えることもできます。
比は相対的な量
比はいつも相対的なもので、絶対的な量ではありません。レシピに「砂糖を500 g、肉を250 g 入れる」と書いてあるのと、「肉を少し入れ、砂糖をその2倍入れる」と書いてあるのとでは意味が違います。前者なら砂糖を500 g 買うしかありませんが、後者なら砂糖が肉の2倍ありさえすればよいのです。もっとも、どちらの場合もできあがるのはひどい料理でしょう。
比はふつうコロン「:」を使って、1:2や5:4のように書きます。この書き方は何を表しているのでしょうか。1:2は、一つ目の材料を二つ目の材料の半分の量にするという意味です。5:4は、材料 A を5杯入れるなら、同じカップで材料 B を4杯だけ入れる、という意味です。
牛乳とコーヒーを5:2の比で混ぜて、カフェオレを作るとしましょう。つまり、グラスに牛乳を5 dL、コーヒーを2 dL 注ぎます。比なので、牛乳を2.5 dL、コーヒーを1 dL 注いでも条件を満たします。要するに、牛乳がコーヒーの2.5倍あればよいのです。2.5という値は、5 / 2を計算して求めました(この値を、比5:2の比の値といいます)。同じように、材料 A と B の比が5:1なら、A を B の5倍(5 / 1)にします。7:3なら、およそ2.3倍(7 / 3)になります。1:1なら両方の量は同じです。最後に2:3なら、B が A の1.5倍(3 / 2)、言いかえると A が B のおよそ0.67倍(2 / 3)になります。
例題
財布に小銭で千円あるとします。庭では二人の働き者が、のぞき好きな隣人から居間を隠す塀を立てるために、一晩中穴を掘ってくれました。太郎さんは健太さんより手早く働いたので、多めにお金をもらうことになり、その比は7:3です。けちけちせずに千円をすべて渡すとすると、二人はこの骨の折れる仕事でそれぞれいくらもらえるでしょうか。
計算は簡単です。比は7:3なので、太郎さんが7つ分、健太さんが3つ分をもらいます。比の数を足すと 7 + 3 = 10 になるので、渡したい千円をこの数で割ります。1000 / 10 = 100 です。これで、1つ分が何円にあたるかがわかりました。太郎さんは7つ分なので 100 · 7 = 700、健太さんは3つ分なので 3 · 100 = 300 です。これで解けました。太郎さんは700円、健太さんは300円をもらいます。
これが、比の問題のいちばん簡単な解き方です。比は、ある全体をどう分けるかを表しているにすぎません。比が1:2なら、全体のうち材料 A が1/3、材料 B が2/3です。比は、分数を別の形で書いたものにほかなりません。分母は比の数をすべて足して求め、分子にはそれぞれの比の数を入れます。すべての部分を足すと全体、つまり1になるはずです。1/3 + 2/3 = 3/3 = 1です。パーセントで表すこともでき、およそ33.3%と66.7%になります。もう一つ簡単な例を見てみましょう。
さくらさんと翔太さんは子どものころからの友だちでしたが、別々の大学に進み、長いあいだ会えなくなりました。さくらさんは歴史学を、翔太さんは物理学を学びました。何年もたってから、二人はなじみの喫茶店で再会し、話に花を咲かせました。さくらさんは、会わないあいだに16か国を旅行したと翔太さんに話しました(さくらさんは旅行が大好きでした)。ところが、ちゃっかり者の翔太さんは自分が行った国の数をはっきり言わず、「さくらさんと僕の国の数の比は8:3だよ」とだけ答えました。いかにも理系らしい答え方です。しかし、さくらさんも頭が切れるので、すぐに計算を始めました。「私の16か国は、翔太さんの言った比の8にあたる。だから、比の1つ分が何か国にあたるかを知るには 16 / 8 = 2 を計算すればいい。1つ分は2か国。翔太さんは3つ分だから、2かける3で6か国ね。」翔太さんはそのとおりだと認め、飲み物をもう一杯注文しました。
美咲さんは「Sk8 is Gr8」というカフェで働いていました。ある日、ちょっと変わったお客さんがカウンターにやってきて、特製のミックスドリンクを注文しました。お客さんの注文はこうです。「500 mL のカップで頼むよ。バナナジュースとコーラとコーヒーを、5:2:3で混ぜてくれ。」美咲さんは驚きましたが、お客さんの注文には応えなければなりません。さっそく作り始めました。まず比の数をすべて足します。5 + 2 + 3 = 10です。カップには500 mL の飲み物が入ります。そこで、比の1つ分が何 mL にあたるかを求めなければなりません。これは 500 / 10 = 50 で簡単に求められます。1つ分は50 mL です。したがって、カップにはバナナジュースを 5 · 50 = 250 mL、コーラを 2 · 50 = 100 mL、コーヒーを 3 · 50 = 150 mL 注ぎました。お客さんは次にカウンターに来たとき、トイレの場所をたずねました。
地図の縮尺
比のよく知られた使い道の一つに、地図の縮尺があります。
章: 比, 共有持分の計算