部分積分法
部分積分法は、積の形の関数の原始関数を求めたいときに使います。
公式の導き方
導き方は、おなじみの微分の公式にもとづきます。
関数 u と v があり、ある区間 J で微分可能、つまり u′ と v′ が存在するとします。ここで、両辺を積分します。すると次のようになります。
左辺では、積分と微分を取り除けます。ある関数を微分してから積分し直すと、(定数 c の違いを除いて)元の関数に戻るからです。
v の導関数 v′ を含む積分を左辺に残すように変形します。
つまり、関数
例題1
例を使って、部分積分法の使い方を見ていきましょう。次の積分を計算します。
この種の問題は、積分の基本の記事で紹介したふつうの方法では解けません。与えられた関数は積の形なので、部分積分法を使います。
次の公式
には関数 u と v があり、これらをうまく選ばなければなりません。いま求められていることを整理しましょう。前の公式を使えば、積分
うまく選ぶことはとても大切で、選び方を間違えると、かえって面倒になります。前の公式を使うと、右辺に何が出てくるかを見てください。式 u · v は問題ありませんが、積分
関数を次のように選びます。
これで左辺が得られました。左辺の積分の中には、ちょうど積 u · v′ があるからです。右辺にはさらに積 u · v ともう1つの積分があります。そこで、u′ と v を計算しなければなりません。u の微分は簡単です。
次に、v′ から v を求めます。つまり、v′ を積分します。もう一度確認すると、v′ = cos x と選びました。しかし、右辺で扱うのは微分していない v です。言いかえると、右辺の被積分関数にある v を微分すれば、左辺で選んだ v′ になっていなければなりません。そこで、微分すると cos x になる関数を探します。つまり、v′ を積分します。
わかっていることを表にまとめます。
この表から、次の公式に代入します。
すると次のようになります。
積分を、もっと簡単に解ける別の形に変形できました。式 x · sin x はこれ以上変形せず、右側の積分だけを計算します。これはもう公式どおりの簡単な積分です。
したがって、次のように書けます。
これが答えです。
関数の選び方を間違えた場合
この例で、関数 u と v′ を別の選び方にしたらどうなるかも見てみましょう。前は次のように選びました。
そこで今度は逆にしてみます。
u′ と v の値を計算します。すると次のようになります。
次に、v′ を積分します。
表にまとめます。
公式に代入します。
あまり役に立たなかったことがわかります。問題は x · cos x の積分でしたが、部分積分法を使った結果、
関数 u と v' の選び方
残念ながら、どんな場合にも使える規則はなく、少し勘が必要です。また、それらの関数をこのあとどう扱うかを考えるのも役に立ちます。出発点となる基本の公式は次のとおりです。
積の形の関数 f を積分するときは、f = u · v′ となるように関数 u と v′ に分けます。部分積分法の目的は、右辺の積分
右辺の積分を簡単にするには、u に、微分すると簡単になる関数を選ぶのがよいでしょう。典型的なのは xn の形の関数で、微分すると次数が1つ下がります。たとえば、x2 からは 2x が、x からは 1 が得られます。これは理想的です。
逆に、v′ には、積分しても複雑にならないものを選びます。ふつうは、v′ を積分して簡単な関数になることは期待できませんが、ほぼ同じくらいの複雑さの関数になることは期待できます。典型的なのはサインとコサインで、一方を積分するともう一方になるので、問題ありません。
例題2
もう少し複雑な例を見てみましょう。
関数 ex の積分はまた ex なので、積分する側の候補として理想的です。逆に、x2 を微分すると 2x になり、より簡単な式になります。そこで、関数を次のように選びます。
表全体は次のようになります。
公式に代入します。
より簡単な積分になりましたが、まだ完全には計算できません。もう一度部分積分法を使います。今度は次の積分を計算します。
手順は前の段階と同じです。関数を次のように選びます。
すると次のようになります。
数 2 を積分の前にくくり出すと、次のようになります。
そして、ex の積分はまた ex です。
この結果を、前の式に戻して代入します。
代入すると次のようになります。
あとは、結果を少し見やすい形に整理するだけです。まず、かっこの中に −1 をかけてかっこをはずし、そのあと ex をくくり出します。
これで答えが出ました。
対数関数の積分
これは、部分積分法の定番中の定番です。この有名な積分の問題を見てください。
この積分の面白いところは、積がどこにもないのに、部分積分法で解くことです。対数に1をかけるだけです。そうしても積分する関数は変わりませんが、かけ算の形になります。
関数 u と v′ はどう選べばよいでしょうか。対数関数はまだ積分できない(その積分をいま求めている)ので、対数を微分する側にします。積分するのは1です。したがって、次のようになります。
対数の導関数は 1/x です。
そして、1の積分は x です。
表に書き込みます。
公式に代入します。
右辺の積分を計算します。
こうして答えが得られます。