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直線の法線ベクトル

直線 p の法線ベクトルとは、直線 p に垂直なベクトルのことで、その成分は直線の方程式の一般形から得られます。

考え方

2点 A(0, 1), B(2, 5) を通る直線 p があるとします。この直線は関数 y = 2x + 1 のグラフなので、直線の方程式の一般形は −2x + y − 1 = 0 です。図は次のとおりです。

直線 p

一般形は ax + by + c = 0 の形なので、この例の方程式 −2x + y − 1 = 0 では a = −2, b = 1, c = −1 です。係数 a, b には図形的にどんな意味があるのでしょうか。試しに、ベクトル u→=(a,b)、つまりベクトル u→=(−2,1) を図にかき込んでみましょう。

直線 p とベクトル u⃗ = \left(-2, 1\right)

このベクトルが直線 p に垂直であることは、かなりはっきりわかります。これは偶然ではありません。どんな一般形 ax + by + c = 0 をとっても、ベクトル (a, b) はその直線に垂直になります。このようなベクトルを直線 p の法線ベクトルといいます。

法線ベクトルの性質

ベクトルの内積の性質から、2つのベクトルの内積が0になるのは、2つのベクトルが垂直であるとき、またそのときに限ります。直線 p の方向ベクトルは直線 p に平行なので、直線 p のどの方向ベクトルも法線ベクトルに垂直です。有向線分 AB→ から方向ベクトルを求めると、次のベクトルが得られます。

v→=B−A=(2,5)−(0,1)=(2,4)

図にかくと次のようになります。

法線ベクトル u⃗ は方向ベクトル v⃗ に垂直です

思い出しておくと、2つのベクトルの内積は次のように定義されていました。

(u1,u2)⋅(v1,v2)=u1⋅v1+u2⋅v2,

この定義を使って少し計算してみると、実数 a, b について、ベクトル (a, b) と (−b, a) の内積も、ベクトル (a, b) と (b, −a) の内積も、いつも0になることがわかります。

(a,b)⋅(−b,a)=a⋅(−b)+b⋅a=0(a,b)⋅(b,−a)=a⋅b−b⋅a=0

では、一般形 ax + by + c = 0 で表される直線 p と、この直線に垂直な法線ベクトル (a, b) に戻りましょう。ここで気づくことがあります。前の性質から、ベクトル (−b, a) と (b, −a) は法線ベクトルとの内積が0なので、法線ベクトルに垂直なはずです。そして法線ベクトルは直線に垂直なので、法線ベクトルに垂直なベクトルは、逆に元の直線 p に平行になるはずです。うまくできていますね!

図にベクトル v→1=(−b,a) と v→2=(b,−a) をかき込んでみましょう。直線の一般形は −2x + y − 1 = 0 なので、代入すると緑のベクトル v→1=(−1,−2) と v→2=(1,2) になります。

2つの新しい方向ベクトル v⃗_1, v⃗_2

法線ベクトルと点から直線の方程式の一般形を求める

直線の方程式の一般形は、媒介変数表示から簡単に求められることがわかりました。法線ベクトル n→ がわかっているときも、一般形は簡単に求められます。直線 p が点 A(5, 13) を通り、法線ベクトルが n→=(4,−6) だとしましょう。直線 p の一般形は ax + by + c = 0 で、法線ベクトルの定義から、係数 a, b はすぐに決まります。法線ベクトルの成分と同じで、a = 4, b = −6 です。直線の一般形は次の形になります。

4x−6y+c=0

残るのは係数 c の計算です。直線 p を表すこの方程式は、直線 p 上のすべての点で成り立たなければなりません。つまり、x, y に直線 p 上の点の座標を代入すれば、方程式は成り立つはずです。そこで、直線 p が確かに通る点 A を代入すれば十分です。点 A の座標は A(5, 13) なので、方程式 4x − 6y + c = 0 に x = 5, y = 13 を代入します。

4⋅5−6⋅13+c=020−78+c=0c=78−20c=58

したがって、直線 p の一般形は次のとおりです。

4x−6y+58=0.

直線 p の方向ベクトルの例として、u→1=(6,4) と u→2=(−6,−4) があります。

直線と、その緑の方向ベクトル u⃗_1, u⃗_2 と青の法線ベクトル n⃗

章: 直線の媒介変数表示, 直線の方程式の一般形, 直線の法線ベクトル, 傾きと切片を使った直線の方程式, 空間の直線の方程式