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直線の媒介変数表示

直線の媒介変数表示は、平面や空間の直線を表す基本的な式です。

考え方

平面上の直線はどう表せばよいでしょうか。直線を決めるには、異なる2点、たとえば A と B があれば十分です。言いかえると、異なる2点があれば、その2点を通る直線 p がちょうど1本引けます。

2点を通る直線

この直線を、ベクトルを使って別の方法で表すにはどうすればよいでしょうか。図に、直線 p に平行なベクトル u→ をかき加えてみましょう。

ベクトル u⃗ と直線

このベクトル u→ は直線 p と同じ向きです。ここまではよいのですが、向きだけでは足りません。直線 p をベクトル u→ だけで表すと、決まるのは直線の向きだけで、具体的な位置は決まりません。次の3本の直線を区別できないのです。

ベクトル u⃗ と同じ向きの3本の直線

新しい直線 p1 と p2 は、直線 p とも、ベクトル u→ とも同じ向きです。直線 p をただ1つに決めるには、さらに直線 p 上の点を少なくとも1つ知る必要があります。直線 p の向きがベクトル u→ で表され、点 A を通るといえば、直線 p はただ1つに決まります。直線 p1 と p2 は同じ向きですが、どちらも点 A を通りません。

どんな直線も p(A,u→) と書けます。ここで A は直線上の点、u→ は直線に平行なベクトルです。たとえば、直線 p1 は p(G,u→)、直線 p2 は p(E,u→) または p(F,u→) と書けます。直線上の点なら、どれを使ってもかまいません。

直線の方向ベクトル

直線 p(A,u→) があるとき、ベクトル u→ を直線の方向ベクトルといいます。方向ベクトルを求めるいちばん簡単な方法は、直線 p 上の2点 A, B を見つけ、有向線分 AB→ を方向ベクトルにすることです。このベクトルの成分は、座標の差 u→=B−A で求められます。例を見てみましょう。

直線 p

直線 p 上に2点 A, B があります。方向ベクトルは有向線分 AB→ に等しいので、ベクトル u→ の成分は次のように計算します。

u→=(u1,u2)=(6,6)−(2,4)=(4,2)

ベクトル u→ の大きさは、有向線分 AB→ と同じです。このベクトル u→ を図にかき込むと、次のようになります。

方向ベクトルと直線

ベクトル u→ の終点の座標は、計算したとおり (4, 2) で、このベクトルが直線に平行であることがわかります。方向ベクトルが示すのは直線の向き、あるいは「直線の傾き具合」だけです。方向ベクトルは直線に平行でさえあればよいのです。そのため、有向線分 AB→ の代わりに有向線分 BA→ を使うと、方向ベクトルは v→=A−B になります。

v→=(v1,v2)=(2,4)−(6,6)=(−4,−2)

図にかくと次のようになります。

2つの方向ベクトル u⃗ と v⃗

緑のベクトル v→ は、青いベクトル u→ の逆ベクトルです。どちらも直線 p に平行なので、どちらも直線 p の方向ベクトルです。

直線の媒介変数表示

直線 p、この直線上の点 A、方向ベクトル u→ があるとします。点 A とベクトル u→ を足すと、どんな点が得られるでしょうか。図を見てみましょう。

A + u⃗ の結果

直線上の点に方向ベクトルを足すと、やはりこの直線上にある点 X が得られます。要するに、「点 A をベクトルの向きに、ベクトル u→ の大きさだけ動かした」だけです。点 X の座標は次のとおりです。

X=(x,y)=A+u→=(2,1)+(1,3)=(3,4)

ベクトル u→ の半分や2倍、あるいは −1 倍を使うとどうなるでしょうか。これも図で示します。

点 A とベクトル u⃗ の実数倍の和

点 A に方向ベクトル u→ の何倍を足しても、得られる点はいつも直線 p 上にあります。赤い点 A が「出発点」で、緑の点は点 A に青い方向ベクトル u→ の実数倍を足した結果です。

実は、直線 p 上のどの点 X を選んでも、その点はいつも、点 A と方向ベクトル u→ の t 倍の和として表せます(t は実数)。直線 p 上のすべての点 X について、次の式を満たす t ∈ ℝ があるといえます。

X=A+t⋅u→.

言いかえると、この式の t にすべての実数を順に代入すれば、直線 p をつくるすべての点、つまり直線 p 全体が得られます。この式を直線 p(A,u→) の媒介変数表示といい、t を媒介変数(パラメータ)といいます。

この式は連立方程式に書きかえられます。点 X の座標が (x, y)、点 A の座標が (a1, a2)、ベクトル u→ の成分が (u1, u2) なら、次のように書けます。

(x,y)=(a1,a2)+t⋅(u1,u2),

これは、先ほど述べた連立方程式に書きかえられます(x 座標と y 座標を別々に表します)。

x=a1+t⋅u1y=a2+t⋅u2

平面上のどんな直線も、この連立方程式で表せます。

媒介変数の範囲の制限

前の節で、媒介変数表示の媒介変数 t にすべての実数を代入すると直線が得られることを見ました。すべての実数ではなく、その半分、たとえば0以上の実数だけを代入するとどうなるでしょうか。

半直線が得られます。次の図に戻ると……

点 A とベクトル u⃗ の実数倍の和

……方向ベクトル u→ の正の実数倍(つまり正の媒介変数 t)では、点 A より「上」にある点 X が得られたことがわかります。逆に、u→ の負の実数倍(つまり負の媒介変数 t)を足すと、点 A の「反対側」、つまり「下」にある点が得られました。媒介変数 t に0以上のすべての数、つまり t ∈ [0, ∞) を代入すると、赤で示した次の半直線 r が得られます。

半直線 r

破線は、逆に媒介変数 t にすべての負の数を代入したときに得られる点を表しています。

媒介変数 t に区間 [0, 1] のすべての数を代入すると、長さが方向ベクトルの大きさと等しい線分が得られます。次の赤い線分です。

線分

例題

平面上に2点 A(−1, 3) と B(2, 5) があります。

  1. 点 A, B を通る直線 p の媒介変数表示を求めなさい。まず方向ベクトルを求めます。有向線分 AB→ を使うと、方向ベクトル u→ の成分は次のようになります。

    u→=(u1,u2)=B−A=(2,5)−(−1,3)=(3,2)

    直線の媒介変数表示は一般に X=A+t⋅u→ の形なので、代入すると次の式が得られます。

    X=(−1,3)+t⋅(3,2)

    これは次の連立方程式に書きかえられます。

    x1=−1+3tx2=3+2t

    直線を表しているので、t ∈ ℝ です。図は少し下にあります。

  2. 点 A を始点とし、点 B を通る半直線 r の媒介変数表示を求めなさい。同じ媒介変数表示を使い、媒介変数 t の範囲を制限するだけです。あとは、t ∈ [0, ∞) と t ∈ (−∞, 0] のどちらにするかを決めるだけです。

    方向ベクトルは有向線分 AB→ から求めたので、始点は A、終点は B です。求める半直線の始点も A なので、ちょうど都合のよい向きです。したがって、媒介変数の負の値で向きを逆にする必要はなく、媒介変数 t は0以上の範囲 t ∈ [0, ∞) からとります。

    この問題と前の問題を図に表すと、次のようになります。

    方向ベクトル u⃗、直線 p、半直線 r

  3. 線分 AB の中点を求めなさい。方法は2つあります。1つは、点 A, B の座標を足して、その結果を2で割る方法です。やってみましょう。

    M=(−1,3)+(2,5)2=(1,8)2=(12,4)

    同じ点は、方向ベクトルを使っても求められます。方向ベクトルは有向線分 AB→ から求めたので、A+u→ を計算すると点 B が得られます。そこで、A に方向ベクトルの半分を足せば、線分 AB の中点が得られます。

    M=A+12u→=(−1,3)+12(3,2)=(−1,3)+(32,1)=(12,4)

    同じ点になりました。図でも確かめておきましょう。

    線分 AB の中点 M

章: 直線の媒介変数表示, 直線の方程式の一般形, 直線の法線ベクトル, 傾きと切片を使った直線の方程式, 空間の直線の方程式