連立方程式
実際の問題では、方程式を1つだけでなく、2つ(またはそれ以上)同時に解かなければならないことがよくあります。まず、このような連立方程式を代入法で解く方法を見ていきます。行列を使って連立方程式を解く方法は、記事連立1次方程式を参照してください。
基本
連立方程式とは、いくつかの方程式を組にして一緒に解くものです。連立方程式にはふつう変数も2つ以上あり、すべての変数に代入するとどの方程式も成り立つような数の組を探します。
連立方程式の例として、次のものがあります。
この連立方程式の答えは、変数 a と b に代入したときに両方の方程式が成り立つような数の組(または組の集合)になるはずです。方程式 a + b = 0 が成り立つには、変数 a が −b に等しくなければならないことは、見ただけでなんとなくわかります。これがわかれば、2つ目の方程式から a = 10、b = −10 だとすぐにわかります。代入すると次のようになります。
さて、見当で解くのはここまでにして、連立方程式を確実に解ける手順に取りかかりましょう。
代入法
代入法では、一方の方程式を未知数の1つについて解き、その結果をもう一方の方程式に代入します。まず、例として次の連立方程式を用意します。
これは未知数が2つの簡単な連立方程式です。両方の方程式が成り立つような変数 x と y の値を求めます。まず1つ目の方程式だけを取り出して、y について解きます。
まず両辺から 4x を引きます。
両辺を2で割ります。
これで y が何に等しいかがわかりました。この結果を、2つ目の方程式の変数 y に代入できます。つまり、2つ目の方程式の y の代わりに 3 − 2x を書きます。これで何が得られるでしょうか。2つ目の方程式の変数が2つではなく1つになります。変数 y の代わりに、変数 x だけを含む式を代入するからです。代入してみましょう。
あとはかっこをはずし、まとめられる項をまとめるだけです。
これで x の値は2だとわかりました。残るのは y の値の計算です。x と y の両方を含む方程式に、わかった x の値を代入します。たとえば最初の方程式を選びましょう。次のように代入します。
これで連立方程式が解けました。この連立方程式の解はただ1組で、x = 2、y = −1 です。この答えを確かめたければ、両方の方程式に代入するだけです。1つ目の方程式に代入すると、次のようになります。
2つ目の方程式に代入すると、次のようになります。
加減法
筆者はこちらの方法のほうが好きですが、もちろん問題によります。いつも使いやすいとは限りません。加減法の考え方は、連立方程式を解くとき、方程式どうしを足すことが同値変形になるということです。方程式どうしを足すには、一方の方程式の左辺ともう一方の方程式の左辺を足し、右辺どうしも足します。一般に、次のような連立方程式を考えましょう。
この2つの方程式を足すと、次のように1つの方程式が得られます。
左辺どうし、右辺どうしを別々に足しました。では、何を目指せばよいのでしょうか。2つの方程式を足しても変数が2つ残るなら、あまり役に立ちません。そこで、2つの方程式を足したときに変数の1つが消える、つまり互いに打ち消し合うようにします。2組の関数 f と g のどちらか一方の和が0になるようにするのです。
どうすればそうなるでしょうか。連立方程式はふつうの方程式でできているので、ふつうの方程式と同じように方程式の同値変形が使えます。そのため、どれかの方程式の両辺に数をかけても、方程式の解は変わりません。では、前の連立方程式を加減法で解いてみましょう。問題は同じです。
このまますぐに方程式を足すと、両方の変数が残ってしまいます。
そこで、まず変形をする必要があります。ここでは変数 y を「消す」ことにしましょう。そのためには、両方の方程式で y の係数の大きさが等しく、符号だけが逆になっている必要があります。2と3の最小公倍数は6です。簡単な方法は係数どうしをかけることで、2かける3は6なので、6は必ず両方の数で割り切れます(注:この方法で最小公倍数が求まるとは限りませんが、両方の係数で割り切れる数は必ず見つかります)。
では、それぞれの方程式で y の係数が6になるようにします。1つ目の方程式の両辺に3を、2つ目の方程式の両辺に2をかけます。
次のようになります。
ここで方程式どうしを足します。
未知数が1つの方程式が得られたので、あとは簡単に解けます。
前の代入法と同じ結果になりました。あとはまた x をどちらかの方程式に代入すれば、y = −1 が得られます。確かめもまったく同じように行います。
解の個数
連立方程式の解は、ただ1組とは限りません。解が無数にあることも、逆に解がまったくないこともあります。どんなときにそうなるかを簡単に説明します。未知数が2つの方程式が2つあり、一方の方程式にいくつかの同値変形をするともう一方の方程式になるとき、連立方程式の解は無数にあります。例として次の連立方程式を考えます。
1つ目の方程式の両辺に2をかけると、ちょうど2つ目の方程式になります。つまり、2つ目の方程式は連立方程式について何も「新しい情報」をもたらさないので、実質的には不要です。その結果、次の方程式
の解はどれも、連立方程式全体の解にもなります。たとえば、組 (1, 1) や (−3, 5) は1つ目の方程式の解であり、同時に連立方程式全体の解でもあります。
一方、同時には成り立たない矛盾した方程式が含まれているとき、連立方程式は解を1つももちません。たとえば次のものです。
和 x + y が2にも4にも同時に等しくなることはないので、この連立方程式には解がありません。例題をいくつか見てみましょう。
例題1
次の連立方程式を解きなさい。
ざっと見ただけで、加減法に向いた連立方程式だとわかります。2つ目の方程式の x の係数は1つ目の2倍、y の係数は3倍です。したがって、1つ目の方程式の両辺にマイナス2かマイナス3をかけて、方程式どうしを足せばよいのです。ここでは変数 x を消すことにして、1つ目の方程式の両辺に −2 をかけます。すると次のようになります。
この2つの方程式を足すと、次のようになります。
これで y の値が求まりました。この結果をどれかの方程式に代入します。ここでもいちばん最初の方程式に代入しましょう。
これで連立方程式の解は x = 9、y = −14 だとわかりました。
例題2
次の連立方程式を解きなさい。
少しややこしそうに見えますが、解けます。まず何よりもかっこをはずす必要があります。そうしないと先に進めません。
次に、方程式を扱いやすい形に変形します。変数を左辺に、定数項を右辺に移し、まとめられる項をまとめます。
見た目の悪かった方程式から、かなり扱いやすい連立方程式が得られました。ここからは、いつもの方法のどれかを使えます。たとえば、2つ目の方程式の両辺に2をかけて、1つ目の方程式と足します。2つ目の方程式の両辺に2をかけると、次のようになります。
ここで、いつもの加減法で2つの方程式を足します。
これで一方の値がわかりました。この結果をどちらかの方程式に代入して y を求めます。たとえば方程式 2x− 3y = −13 に代入すると、次のようになります。
これで連立方程式の答えがそろいました。解は x = 4、y = 7 です。