グラフの調べ方:極値
関数の極値とは、関数が最大の値や最小の値をとる点のことです。
関数の極値
基本的な種類は、最小と最大の2つです。さらに、全体での最大値・最小値と、局所的な最大・最小(極大・極小)を区別します。最大値をとる点とは、関数が定義域のすべての点の中でいちばん大きな値をとる点です。そのような点がただ1つなら、狭義の最大値といいます。関数は複数の点でいちばん大きな値をとることもあるからです。たとえば、2人の社員がどちらも最高額の月給200万円を受け取ることがあるのと同じです。最小値と最大値の定義は関数の記事にあります。
極小(局所的な最小)は、関数の定義域の一部、ふつうはある区間でだけ考えます。極大と極小の定義は次のとおりです。
- 関数 f が点 M ∈ D(f) で極大になるとは、ある近傍 U = (M − ϵ, M + ϵ)(ϵ > 0)があって、すべての x ∈ U ∩ D(f) について
が成り立つことです。 - 関数 f が点 m ∈ D(f) で極小になるとは、ある近傍 U = (m − ϵ, m + ϵ)(ϵ > 0)があって、すべての x ∈ U ∩ D(f) について
が成り立つことです。
(日本の高校の教科書では、極大・極小を「増加から減少に変わる点」「減少から増加に変わる点」として扱い、等号を含まない形で定義することが多いです。)
極値を無数にもつ関数の例は、関数 f(x) = x · sin x です。
では、なぜ定義に「すべての x ∈ U ∩ D(f) について」、つまり定義域との共通部分があるのでしょうか。たとえば、次のグラフの関数は……
……点 m = 1 で極小になりますが、点 m = 1 の左側の近傍では、どんなに小さくとっても関数が定義されていません。そのため、この左側の近傍では
極値を求める基本的な考え方
では、関数 f(x) = x2 + 1 のグラフと3本の接線に戻りましょう。
特に接線 c に注目します。この接線は関数 x2 + 1 が最小値をとる点でグラフに接し、水平、つまり x 軸に平行です。x 軸の正の部分と0度の角を「なしている」ことになります。関数を上下逆にして、最小ではなく最大をもつようにしたらどうなるでしょうか。関数 −x2 + 1 のグラフを見てみましょう。
関数 −x2 + 1 が最大値をとる点を通る接線 c も、やはり x 軸に平行であることに注目しましょう。ここから規則が見えてきます。関数の最小や最大を探すときは、x 軸に平行な接線、つまり x 軸となす角のタンジェントが0になる接線を探せばよいのです。前の図から、tan(0°) = 0 であることがわかります。微分でいえば、微分係数が0になる点、つまり f′(x) = 0 を満たす点を探すことになります。
おなじみの関数 f(x) = x2 + 1 の極値を、微分を使って計算してみましょう。関数 f の導関数は f′(x) = 2x です。次に、導関数が0になる x を探します。つまり、方程式 f′(x) = 0、代入すると 2x = 0 を解きます。解は明らかに x = 0 です。関数 f(x) = x2 + 1 が点 x = 0 で最小値をとることと一致しています。
「規則」の例外
関数が点 x で極値をとるのは、その点での微分係数が0のとき、しかもそのときに限る、といいたくなります。残念ながらそれは正しくなく、そう簡単ではありません。次の例を見てみましょう。
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関数 f(x) = x3 の極値を調べてみます。この関数の導関数は f′(x) = 3x2 です。方程式 f′(x) = 0、つまり 3x2 = 0 を解きます。解は明らかに x = 0 です。しかし、関数 x3 は点 x = 0 で極値をとるでしょうか。グラフを見てみましょう。
点 x = 0 では、関数は極値をとりません。最大値・最小値でも、極大・極小でもありません。では、なぜこの点で微分係数が0になるのでしょうか。単に、この点で接線 t が x 軸に平行だからです。次の図を見てください。
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関数 f(x) = |x|、つまり x の絶対値はどうでしょうか。グラフから、点 x = 0 で最小値をとることがわかります。
ところが、この関数は点 x = 0 で微分可能ではありません。点 x = 0 では、接線がどんな形になるかいえないので、関数は接線をもちません。
したがって、次のことが成り立ちます。
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関数 f が点 x で極値(極小または極大)をとり、しかもその点で微分係数が存在する(!)なら、その微分係数は0です。 関数が点 x で極値をとるのに、その点で微分係数がまったく存在しないこともあります。
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関数 f の点 x での微分係数が0なら、その点で極値をとることもあれば、とらないこともあります。
関数の極値の求め方
定義域全体で微分可能な関数 f が与えられたとします。最初の段階では、関数 f を微分して関数 f′ を求めます。次に、導関数を0とおきます。つまり、方程式 f′(x) = 0 を解きます。この方程式の解は、極値の「候補」となる点で、停留点といいます。
次に、これらの停留点のうちどれが極値かを決める必要があります。それは、たとえば関数 f の第2次導関数でわかります。s が停留点、つまり f′(s) = 0 のとき、f′′(s) > 0 なら点 s で極小、f′′(s) < 0 なら点 s で極大になります。
(日本の高校では、ふつうは f′(x) の符号の変化を増減表にまとめて極値を判定します。)
この点で第2次導関数も0になるなら、さらに微分を続けなければなりません。これについてはあとで説明します。では例題です。関数 f(x) = 3x2 + 6x の極値を求めなさい。
導関数を計算すると f′(x) = 6x + 6 です。導関数を0とおきます。
したがって、点 x = −1 が停留点、つまり極値の候補です。第2次導関数を計算すると、f′′(x) = 0x + 6 です。点 x = −1 を代入すると f′′(−1) = 6 になります。結果は正なので、関数はこの点で極小になります。グラフは次のとおりです。
第2次導関数も0になる場合
関数 f(x) = x4 の極値を求めてみましょう。グラフは次のとおりです。
この関数の導関数は f′(x) = 4x3 です。方程式 f′(x) = 0 の解は、もちろん停留点 s = 0 だけです。第2次導関数を計算すると、f′′(x) = 12x2 です。この第2次導関数に停留点 s を代入すると、次のようになります。
0になりました。これまで説明したことだけでは、この点で極値をとるかどうかわかりません。しかし、図を見れば極値があることがわかります。このような場合は、さらに微分を続けます。第3次導関数を求め、停留点 s を代入します。0でない数になれば、点 s はいわゆる変曲点です(これについてはあとで説明します)。0になれば、さらに微分を続けます。第4次導関数では、第2次導関数のときと同じように判定します。停留点を代入して、値が正なら極小、負なら極大です。
第3次導関数は f′′′(x) = 24x で、代入すると f′′′(0) = 0 なので、さらに微分します。第4次導関数は f′′′′(x) = 24 です。第4次導関数はもういつも正なので、第2次導関数のときと同じように、関数は点 s = 0 で極小になると判断できます。実際そのとおりです。
関数の極値の求め方のまとめ
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微分可能な関数 f が与えられます。
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関数 f を微分します。
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方程式 f′(x) = 0 を解きます。方程式の解であるすべての s を停留点、つまり極値の候補といいます。
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第2次導関数を計算します。
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すべての停留点 s で第2次導関数の値を計算します。f′′(s) > 0 なら点 s で極小、f′′(s) < 0 なら点 s で極大です。f′′(s) = 0 なら、さらに微分を続けます。
ヒント:極大・極小になるには第2次導関数が正と負のどちらでなければならないかを覚えたくなければ、たとえば関数 x2 から導けばよいのです。この関数のグラフは知っているはずですし、導関数も第2次導関数も簡単です。f′(x) = 2x、f′′(x) = 2 です。第2次導関数はいつも正で、関数 x2 は点 x = 0 で最小になります。
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第3次導関数を計算します。f′′′(s) ≠ 0 なら点 s は変曲点で、そうでなければさらに微分を続けます。
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第4次導関数を計算します。f′′′′(s) ≠ 0 なら、その点で極値をとります。そうでなければ、さらに微分を続けます。
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以下同じように続けます。0でない最初の導関数が奇数次なら変曲点、偶数次なら極値です。
章: 関数のグラフの調べ方, グラフの調べ方:極値, グラフの調べ方:増加と減少, グラフの調べ方:下に凸と上に凸