多項式の割り算
多項式の割り算は簡単な計算ではありませんが、多項式を変形したり簡単にしたりするときによく使われます。
例題1
多項式の割り算は、これまでの計算と比べるとかなり複雑です。とはいえ、手順はふつうの数の割り算の筆算とよく似ています。例を使って、手順全体を見ていきましょう。まずは簡単な例から始めます。
どちらの多項式も降べきの順に並べ、きちんと整理してある(まとめられる項はまとめてある)とします。手順に必要なことではありませんが、計算が楽になります。最初に、1つ目の多項式の先頭の項を、2つ目の多項式の先頭の項で割ります(ここでは2つ目の多項式は項が1つなので、その先頭の項は2つ目の多項式全体と同じです)。つまり、次の計算をします。
このような項どうしの割り算はかけ算の逆で、特にむずかしいことはありません。最初の手順なので、これをもとの式の右に書きます。
次の手順に進みます。いまの途中の答えに、2つ目の多項式、つまり割る多項式をかけます。
この結果を、1つ目の多項式全体から引きます。1つ目の多項式の下に、次のように書きます。
線の下に残った式に対して、もとの多項式と同じ手順をくり返します。2つ目の多項式の先頭の項で割ります。
この結果を、さっきの途中の答えに足します。
そして、2つ目の多項式全体に4をかけ、
線の下に残った式から引きます。
引いた結果は0なので、ここで計算は終わりです。右辺に割り算の答えがあります。検算するには、得られた多項式に2つ目の多項式をかけます。1つ目の多項式にもどれば正しい答えです。
例題2
前の問題を少しだけ変えて、次の式を計算します。
計算の流れは前の例とまったく同じですが、引いた結果がいつも7だけ大きくなります。計算を簡単に書くと、次のようになります。
手順は変わらず、7が加わっただけです。この段階では、新しく出てきた差(この7)を2つ目の多項式できれいに割ることはできません。そこで、7をその多項式で割った分数をそのまま書き、途中の答えに足します。
これに2つ目の多項式をかけると7になり、
引くと0になります。
0になったので、ここで計算は終わりです。(高校の教科書では、このときの7を「余り」とよびます。)
例題3
2つ目の多項式の項を1つ増やします。
最初は、これまでの例と同じように、1つ目の多項式の先頭の項を2つ目の多項式の先頭の項で割ります。
次に、この途中の答えに2つ目の多項式全体をかけ、1つ目の多項式から引きます。
問題の下に見やすく書いておきます。
続けて、新しくできた多項式の先頭の項を、2つ目の多項式の先頭の項で割ります。
2つ目の多項式全体をかけます。
書いて引きます。
これ以上はうまく割れないので、残った式を2つ目の多項式で割った分数をそのまま足します。
ここでさらにかけて引けば、前の例と同じようにすぐに0になります。検算をしましょう。きちんと検算する前に、簡単なテストをすることもできます。式に簡単な値、たとえば0を代入します。割り算の答えに0を代入すると、次のようになります。
割られる式と割る式に0を代入すると、次のようになります。
変形が正しければ、2つの値は等しくなるはずです。実際、値は等しくなっています。この方法では、x に代入できるすべての値を試さないかぎり完全に正しいとは言い切れませんが、まちがいがあればすぐに見つけられることがあります。同じことを1でも試してみましょう。答えに代入すると、次のようになります。
もとの式に代入すると、次のようになります。
よさそうですが、最終的に確かめるには、かけ算を最後まで計算する必要があります。