割り算
割り算はかけ算の逆の計算です。割り算はちょっとした笑いのネタにもなります。だれもが知っているように、0で割ってはいけません。ノートが燃えてしまうからです。
割り算とは
割り算は、大きなものを同じ大きさの小さな部分に分けることだと考えられます。たとえば、お父さんが長さ100 cmの板を同じ長さの5つに切り分けたいとします。1つ分の長さはどれだけになるでしょうか。
逆から考えることもできます。切り分けた5つの部分の長さをすべて足すと、もとの 100 にもどるはずです。どんな数ならそうなるでしょうか。20 + 20 + 20 + 20 + 20 = 100 なので、答えは 20 です。足し算のかわりにかけ算を使うこともできます。5をかけると100になる数は何でしょうか。5 · 20 = 100 なので、やはり 20 です。
図で表すと、長さ 100 の線分を同じ長さの5つの部分に分けることになります。
100を5で割るときは、「100の中に5がいくつ入るか」を調べています。割り算は、スラッシュを使って 100 / 5、またはコロンを使って 100 : 5 と書きます。日本の学校では記号 ÷ を使って「100÷5」と書くのがふつうです。2つの数の割り算の結果を「商」といいます。ここでの例では、20 が 100 と 5 の商です。左の数を「割られる数」、右の数を「割る数」といいます。割り算は分数でも書けます。100 / 5 のかわりに
- a を割られる数、
- b を割る数、
- c を商といいます。
かけ算を使った定義
商は、かけ算を使うといちばん簡単に定義できます。例として、35 / 7 を考えます。答えは何でしょうか。7 をかけると 35 になる数を探せばよいのです。48 / 8 なら、8 をかけると 48 になる数を探します。
したがって、7 · 5 = 35 なので 35 / 7 の答えは 5、8 · 6 = 48 なので 48 / 8 の答えは 6 です。
一般に、a / b の答えは、b · c = a を満たす数 c です。
ここまでの例はすべて自然数でしたが、かけ算を使って定義したおかげで、ほかのどんな数でも割り算ができます。たとえば商 −85.76 / 6.7 を求めるには、6.7 · x = −85.76 を満たす数 x を探します。これを満たすのは x = −12.8 です。
0をほかの数で割ることはできる
0をある数で割ることはできます。0 / 15 は正しい式です。これは、0を 15 個の同じ部分に分けるということです。ケーキが1つもないのに、そのないケーキを 15 個に切り分けると考えてみましょう。1切れの大きさはどれだけでしょうか。ケーキがそもそもないのですから、0です。あるいは、財布に0円しか入っていなくて、その0円を3人の子どもで分けると考えてもかまいません。1人いくらもらえるでしょうか。何もないのですから、1円ももらえません。したがって 0 / 15 = 0 です。
0をほかの数で割ることはできますが、ほかの数を0で割ることはできません。8 / 0 は正しくない式です。
なぜ0で割ってはいけないのか
0で割ってはいけないのは、昔からそういう決まりだからです。というのは冗談です。
もっとちゃんとした理由があります。まず、割られる数が0でない場合、つまり a ≠ 0 として a / 0 の形の割り算を考えます。理由を2つ挙げます。
- 大きなものを同じ大きさの小さな部分に分けるという考え方を続けてみましょう。いちばん強いキャラクターカードが15枚あります。これを0人の子どもで分けます。子ども1人あたり何枚もらえるでしょうか。
え???
そうです。問題は読みまちがいではなく、たしかに意味がありません。カードを配る子どもが1人もいないのに、1人あたり何枚もらえたかを問うことはできません。だから0で割ることにも意味がなく、式 x / 0 は「定義されない」といいます。
- 割り算はかけ算を使って定義しました。15 / 0 を計算しようとすると、x · 0 = 15 を満たす数 x を探すことになります。ところが、どんな数に0をかけても0なので、この等式を満たす x は決して見つかりません。
では 0/0 はどうなるか
0/0 も x / 0 と同じく定義されません。理由は次のとおりです。
今度は、いちばん強いキャラクターカード0枚を0人の子どもで分けます。これもやはり意味のない問題です。
割り算の定義によれば、0 / 0 を計算するには x · 0 = 0 を満たす数 x を探します。解は見つかります。もっと正確にいうと、どんな実数もこの等式の解です。x に 4、1、π のどれを代入しても、等式は成り立ちます。もちろん、割り算の答えが実数全体になるのは認められません。意味がないからです。
実数全体の中から特定の数を1つ選び、その数こそが 0 / 0 の答えだと決める必要があります。でも、どの数にすればよいでしょうか。1でしょうか。8でしょうか。0でしょうか。マイナス1でしょうか。それはなぜでしょうか。0と1について、それぞれを支持する理由を挙げてみます。
- x / x の形の分数は1に等しいことがわかっています。たとえば 7 / 7 = 1、3 / 3 = 1 です。ここから、0 / 0 = 1 となるように定義すべきだと考えることもできます。
- 次のような、どれも正しい分数の列を見てみましょう。どの分数でも、0を、どんどん0に近づいていく数で割っています。
どれほど0に近い数で割っても、商はいつも0です。ここから、0 / 0 = 0 と考えることもできます。
どちらも、0 / 0 をどう定義するかについての、もっともな理由です。では、どちらがよいのでしょうか。結局のところ、どちらか一方を選んで唯一の正しい答えだと決めたとしても、数学のほかの部分と矛盾してしまいます。
そのため、0で割ることは定義しないままにしておくのです。
0で割ってはいけない最後の理由
ここまでの理由で納得できなかった人も、実際に0で割ろうとした人の記録写真を見れば納得するでしょう。