0で割れない理由
電卓で
割り算はかけ算の逆
したがって
同じ考え方を0に当てはめてみましょう。
ところが、0をかけるかけ算で見たように、どんな数に0をかけても0です。x に1を代入しても、100万を代入しても、マイナス3を代入しても、結果はいつも0で、6には決してなりません。そのような x は存在しないので、
0は何回入るか
割り算は、引き算のくり返しと考えることもできます。
3は4回入ったので、
ところが
0の近くで起こること
0で割ることはできませんが、0にとても近い数で割ることはできます。1を、どんどん小さくなる数で割ってみましょう。
割る数が小さいほど、答えは大きくなります。割る数が 0.000001 なら答えはもう100万になり、さらに限りなく大きくなっていきます。
負の側から0に近づくと、たとえば
0の右側では曲線は上へ跳ね上がり、左側では下へ落ちこみます。右から近づくと答えは無限大に、左から近づくと負の無限大に近づき、左右で行き先がちがいます。そのため「無限大」も
答えは無限大だと決めてしまえないのか
試しにそう決めて、何がおかしくなるか見てみましょう。
最初と同じように、この2つの商をかけ算で確かめます。
もちろん、これは正しくありません。したがって、無限大をふつうの数と同じように計算することはできません。
とはいえ、数学者は新しい数をつくることを恐れません。実数の範囲ではマイナス1の平方根は存在しないので、i2 = −1 を満たす新しい数 i が考え出されました。こうして生まれた複素数でも、足し算、かけ算、かっこを使った計算はそのまま成り立ちます。ところが、0で割る場合はうまくいきません。どんな新しい数を考えても、ふつうの計算のきまりが成り立つとすると、必ず 1 = 2 のような式にたどり着き、計算そのものが成り立たなくなってしまいます。
では0を0で割ると
今度は逆の問題が起こります。
1 = 2 の証明
0での割り算は、うまく隠れることがあります。0でない等しい2つの数 a = b から始めて、式を変形してみます(式の右の「/」のあとには、両辺に行う計算を書いています)。
左辺を公式 a2 − b2 = (a + b)(a − b) で因数分解し、右辺は共通因数 b をくくり出します。
a = b なので、a に b を代入できます。
どの変形も問題なさそうに見えるのに、おかしな結果を「証明」してしまいました。どこがまちがっているのでしょうか。先を読む前に考えてみましょう。
まちがいは a − b で割ったところにあります。a = b なので a − b = 0 で、つまり式全体を0で割っていたのです。そのため、方程式の変形では、割る式が0になることがないかを必ず確かめます。一方、最後に b で割ったのは問題ありません。b は0ではないからです。