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多項式の因数分解

多項式は、いくつかの多項式の積に分解できます。これを「因数分解」といいます。次の多項式があるとします。

Pn(x)=anxn+an−1xn−1+…+a1x1+a0x0,

定数 n は多項式の次数、つまり多項式に現れる指数のうち、係数が0でないものの中でいちばん大きい指数です。たとえば、多項式 x3 − 4x2 − 5x の次数は3です。ほかの指数はどれもそれより小さい(指数2と1)か、係数が0です。このとき、多項式の根 k が1つ見つかれば、次数が1つ低い別の多項式 Qn − 1(x) があって、次の式が成り立ちます。

Pn(x)=(x−k)⋅Qn−1(x).

むずかしく聞こえますが、言っていることは単純です。多項式 Pn(x) の根がわかれば、(x − k) をかけるともとの多項式 Pn(x) になるような別の多項式 Qn − 1(x) を見つけられます。しかも、多項式 Qn − 1(x) の次数は多項式 Pn(x) より1つ低くなります。(高校では、このことを「因数定理」とよびます。)多項式 P3(x) = x3 − 4x2 − 5x を見ると、根の1つは k1 = 0 です(多項式の x に0を代入すると、式全体が0になるからです)。したがって、次の式を満たす多項式 Q2(x) があるはずです。

P3(x)=(x−0)⋅Q2(x)

ここでは簡単です。x − 0 はもちろん x に等しいので、次の等式が得られます。

P3(x)=x⋅Q2(x)

もとの多項式 P3(x) から x をくくり出すだけで、新しい多項式 Q2(x) が得られます。

P3(x)=x⋅(x2−4x−5)

これで多項式を1回、積の形に分解できました。もとの多項式 x3 − 4x2 − 5x を、(x − 0) と、次数の低い多項式 x2 − 4x − 5 の積に分解したことになります。さらに、この多項式 x2 − 4x − 5 も分解できます。2次方程式

x2−4x−5=0

を解くと、この方程式の解は k2 = 5 と k3 = −1 だとわかります。したがって、次の式を満たす多項式 Q1(x) が見つかるはずです。

Q2(x)=(x−5)⋅Q1(x)

多項式 Q1(x) を求めるのはそれほど簡単ではありませんが、たとえば多項式の割り算を使えば求められます。こうして Q1(x) = x + 1 がわかるので、次のように書けます。

x2−4x−5=(x−5)⋅(x+1)

もとの多項式 P3(x) 全体は次のようになります。

P3(x)=x⋅(x−5)⋅(x+1)

このように多項式全体を因数分解すると、根をひと目で読み取れます。積の中のどれか1つの式が0になれば、式全体が0になるからです。そのため、この式を見れば、多項式の根がちょうど k1 = 0、k2 = 5、k3 = −1 であることがすぐにわかります。

章: 多項式, 多項式の割り算, 多項式の根, 多項式の因数分解