弧度法
ラジアンは、度と同じように、角の大きさをはかる単位です。単位円で定義され、半径と同じ長さの弧に対する中心角の大きさを1ラジアンとします。
定義
弧度法を定義するには、単位円が必要です。この円の上に2つの点 A と B を、2点がつくる弧の長さが1になるように、つまり弧の長さがこの円の半径と等しくなるようにとります。円の中心を点 O とすると、角 AOB の大きさがちょうど1ラジアンです。
線分 AO は円の半径で、赤で示してあります。もう1本の赤い線、弧 AB も同じ長さでなければなりません。大切なのは、点 A と B の距離そのもの、つまり線分 AB ではなく、あくまで弧の長さを考えている点です。
1ラジアンは何度でしょうか。およそ 57° 17′ 45′′ です。正確な値を数字で書き表すことはできません。では、このような単位は何の役に立つのでしょうか。
ラジアンでの計算
まず、円全体、つまり360°が何ラジアンにあたるかを考えましょう。1ラジアンの弧の長さは、円の半径に等しいのでした。このような弧を、円全体にいくつ並べられるでしょうか。円全体の長さ(つまり円周)は、次のとおりです。
弧の長さは r なので、弧が円にいくつ入るかを知るには、円周 / 半径 を計算します。すると、次のようになります。
つまり、このような弧を円全体に 2π 個並べられます。なかなかきれいな数です。したがって、次のように書けます。
単位 rad はふつう省略して、単に「大きさ 2π の角」のように書きます。日本の教科書でも、ラジアンの単位は書きません。
次の図には、大きさが1ラジアンの角 α、β、γ がかいてあります。3つの角の大きさの和は、ほぼ180°です。しかし、180°にするには π ラジアンが必要で、π はおよそ 3.1415… なので、まだ少し足りません。
度とラジアンの変換
三角関数を計算する機器やソフトの多くは、初期設定ではラジアンで計算します。角が度で与えられているときは、少し困ります。方法は2つあります。できるなら機器を度で計算するように切り替えるか、度をラジアンに変換するかです。
たとえば、インターネットの検索エンジンGoogleには計算機能が組み込まれていて、サインの値なども計算できます。しかし、初期設定ではラジアンで計算するので、sin(30)を計算しようとすると、正しい答え 0.5 は得られません。Googleは、これを30度ではなく30ラジアンと解釈するからです。ただし、数のあとに「degrees」(英語で「度」)をつけて sin(30 degrees) とすれば、正しく計算してくれます。ほとんどの関数電卓には、度で計算するモードとラジアンで計算するモードの2つがあります。ふつうは rad と deg と書かれたボタンで切り替えます。rad はラジアン、deg は degree(度)の略です。
ほかに方法がなければ、度をラジアンに、またはその逆に変換しなければなりません。まず、度からラジアンへの変換です。180° = π rad が成り立つことはわかっています。1°がラジアンのどれだけにあたるかを知りたいので、両辺を180で割ります。
これで、1°が何ラジアンかがわかりました。たとえば30°をラジアンで表したいなら、この分数に30をかけます。
ほかの角も同じようにします。
次は逆に、ラジアンから度への変換です。やはり等式 180° = π rad から出発します。2π ラジアンなら、度も2倍の360°になります。逆に、ラジアンで表した値が π の半分なら、度も半分の90°になります。そこで、まずラジアンで表した値を π で割り、その角が180°の何倍かを求めます。それから、その値に180をかければ、度で表した角が得られます。たとえば、大きさ 3π/2 ラジアンの角なら、割り算をすると次のようになります。
この結果に180をかければ、度で表した角が得られます。3/2 · 180 = 270 です。2ラジアンなら、次のようになります。
ラジアンで表した値と度で表した値の基本的な関係は、次の公式で表せます(rad はラジアンで表した値、deg は度で表した値です)。
歴史
ラジアンの考え方を最初に示したのは、おそらく1714年のロジャー・コーツです。当時はまだ「ラジアン」という名前はありませんでしたが、そのほかの定義や性質はまったく同じでした。「ラジアン」という言葉がはじめて文書に現れたのは、1873年6月5日、ジェームズ・トムソンの論文の中です。単位の名前は「radial」や単に「rad」になっていたかもしれません。(出典:ウィキペディア)
基本的な変換の表
よく使う角について、度で表した値と、それに対応するラジアンでの値を次の表にまとめます。
章: 角, 角の二等分線の作図, 角を写す作図, 弧度法, 向きのついた角, 多角形の内角の和, 勾配(%)を角度に直す