無限大
無限大(無限)は抽象的な概念で、そもそも思いうかべることができません。無限には終わりがなく、それが名前の由来です。しかし一般の無限には、はじまりもありません(ただし条件をつけることはできます。たとえば半直線も無限ですが、はじまりがあります)。無限大は、ふつう「横にした8」のような記号 ∞ で書きます。
無限大を含む計算
無限大は、ある意味で0に似ています。0もいろいろな点で特別で、特別なきまりがあります。たとえば、0で割ることはできません。これはおそらく小さな子どもでも知っているでしょう(ところで、こんなジョークを知っていますか。算数の宿題をやってこなかったときのいちばんの言いわけは?「先生、うっかり0で割っちゃって、ノートが燃えちゃいました…」)。
何に0をかけても0になるのと同じように、無限大に何をかけても、何をたしても無限大になります。無限大からどんなに大きな数をひいても、残りはいつも無限大です。無限大を割ろうとしても同じです。要するに、無限大はとても大きいので、1秒ごとに何百万ずつひき続けても、いつまでも無限大が残るのです。少しわかりにくいこともあります。たとえば、ちょっとした等式 ∞ + 1 = ∞ を考えてみましょう。これは成り立つでしょうか。
常識的に考えると、左辺のほうが大きいはずです。無限大に1をたせば、その式全体はただの無限大より大きくなるはずだからです。ところが、そうとはかぎりません。さきほど言ったように、無限大に何をたしても無限大です。つまり、無限大たす1は無限大で、無限大は無限大に等しいのです。この等式は成り立ちます。
極限を使う別の考え方もあります。分数1/xを考え、x→+0のときの極限(右側極限)を求めてみましょう(ノートは燃えなかったことにします)。この極限は無限大になります。この式に1をたすと、式は(1+x)/xとなり、x→+0の極限はやはり無限大です。
おもしろくなるのは、無限大どうしを組み合わせはじめたときです。たとえば、無限大ひく無限大はいくつでしょうか。常識的には、同じ大きさの数どうしをひくので、答えは0になりそうです。一方、無限大からどんな数をひいても、結果は無限大だとも言いました。逆に、どんな数から無限大をひいても、マイナス無限大になります。では、どう考えればよいのでしょうか。理屈の上では、どの答えもありえます。数学では、無限大ひく無限大は何か特定の値に等しいとはせず、不定形(定まらない式)とします。0で割ろうとするのと似ていて、意味のある値にはならないのです。このような不定形に出会ったら、式を何らかの方法で変形する必要があります(ある種の不定形では、たとえばロピタルの定理が使えます)。
ほかの不定形:
- ∞ − ∞
- ∞/∞
- 0/0
- 0 · ∞
- 00
- ∞0
- 1∞
ちなみに、符号のきまりはふつうどおり成り立ちます。たとえば −1 · ∞ はマイナス無限大です。
頭がこんがらがりそうな話
集合論に取り組んで、どの集合が大きいかを調べてみましょう。たとえば、偶数の集合と奇数の集合はどちらが大きいでしょうか。偶数と自然数ではどうでしょう。自然数と整数では?偶数と整数では?自然数と有理数では?答えは、どれも同じ大きさです。奇妙に思えるかもしれませんが(整数は奇数よりも多いはずですよね)、どれも同じ大きさの集合なのです。一方、実数の集合は、これらの集合よりも大きいのです。まったく、わけがわかりませんね。