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交換法則

交換法則は、たし算のような演算がもつ性質です。たし算では順番が関係ないことに気づくでしょう。3 + 5 は 5 + 3 と同じです。どんな2つの実数をたして a + b としても、たす数を入れかえて b + a としても、結果は同じです。ある演算がこの条件を満たすとき、その演算は交換法則を満たす(可換である)といいます。

交換法則を満たす演算のもう1つの例は、かけ算です。2 · 6 と 6 · 2 は同じ結果になり、どんな2つの数 a, b についても同じことが成り立ちます。

a⋅b=b⋅a

交換法則を満たさない演算の例は、ひき算です。7 − 4 と 4 − 7 はちがいます。1つ目の答えは 3、2つ目の答えは −3 です。割り算もその例で、2 / 5 と 5 / 2 はちがいます。

ただし、演算のほかの性質、たとえば計算の順序には注意しましょう。式 1 + 2 · 3 を、2 + 1 · 3 と同じだと考えることはできません。かけ算はたし算より先に計算するからです。かっこを使って考えるとよいでしょう。式 1 + 2 · 3 は 1 + (2 · 3) と同じです。たし算の交換法則を使いたいなら使ってかまいませんが、かっこごと動かす必要があります。1 + (2 · 3) は (2 · 3) + 1 に等しく、さらにかけ算の交換法則を使えば、(3 · 2) + 1 にも等しくなります。

集合の演算と交換法則

交換法則を満たすのは、数の演算だけではありません。たとえば集合の演算もそうです。集合 A と B の共通部分は、交換法則を満たす演算です。2つの集合の共通部分は「両方の集合に含まれる要素」なので、次の式が成り立ちます。

A∩B=B∩A

集合 A と B の和集合もまったく同じで、その結果は「少なくとも一方の集合に含まれる要素」です。したがって、次の式が成り立ちます。

A∪B=B∪A

一方、たとえば差集合は交換法則を満たしません。

ベクトル

交換法則を満たす演算は、ベクトルの演算の中にもあります。ベクトルのたし算です。一般に、たし算はたいてい交換法則を満たす演算です。この場合、2つのベクトル u→ と v→ について、次の式が成り立ちます。

u→+v→=v→+u→

これを図で表すと、次のようになります。

2つのベクトルの和

和 u→+v→ は「上の道」で、まず赤いベクトル u→、次に青いベクトル v→ の順に進みます。和 v→+u→ は「下の道」で、まず青いベクトル v→、次に赤いベクトル u→ の順に進みます。それでも結果は同じで、ベクトルは同じ点に着きます。

ある場所から出発して、北に50 m、それから西に20 m歩くところを想像してみましょう。先に西に20 m、それから北に50 m歩いても、同じ場所に着きます。つまり、このような歩き方は交換法則を満たすのです。

論理

論理演算の「かつ」(論理積)と「または」(論理和)も、交換法則を満たす演算です。つまり、命題「5は奇数であり、かつ素数である」は、命題「5は素数であり、かつ奇数である」と真偽が同じです。論理和も同じで、「6は素数であるか、または偶数である」は、「6は偶数であるか、または素数である」と真偽が同じです。

一方、含意(ならば)は交換法則を満たしません。「宝くじに当たったら、お金持ちになる」という命題は、「お金持ちになったら、宝くじに当たる」とは同じではありません。

章: 交換法則, 結合法則, 分配法則