1次方程式
1次方程式とは、ax + b = 0(ただし a ≠ 0)の形に変形できる方程式のことです。具体例としては 2x + 4 = 0 のような方程式があります。この方程式の解は −2 で、これは少し考えればわかるでしょう。しかし、もう少し大きな数が出てくると推測するのは難しくなるので、もっときちんとした手順が必要になります。
1次方程式の基本の形
正確にいうと、1次方程式は未知数 x を1つ含み、同値変形によって ax + b = 0(ただし a ≠ 0)の形に直せる方程式です。未知数は累乗されたり、平方根の中に入ったりしていません。分母に未知数を含む方程式は、分母が0でないという条件のもとでしかこの形に直せません。そのため、このような方程式は別に扱います(分母に未知数を含む1次方程式を参照)。いろいろな1次方程式の例を見てみましょう。
このように、1次方程式にはさまざまな形があります。解きやすくするには、まずこれらを1つの形にそろえる必要があります。この形を基本の形と呼びます。
ここで x は未知数、a と b は任意の実数で、方程式の係数といいます。ただし a は0であってはいけません。つまり a ≠ 0 です。式 ax を1次の項、b を定数項といいます。
1次方程式を解くには、同値変形、つまり方程式の解を変えない変形が欠かせません。同値変形を使わなければ、複雑な方程式は解けません。方程式を基本の形に直すには、方程式に出てくる式そのものを整理するか、方程式の同値変形を使います。
上の例に戻りましょう。1つ目の方程式 2x + 7 = 0 はすでに基本の形なので、係数は a = 2、b = 7 だとすぐわかります。2つ目の方程式 x − 2 = 74 はそう簡単ではありません。同値変形で両辺に −74 を足す(つまり両辺から74を引く)と、x − 76 = 0 が得られます。これで基本の形になり、係数は a = 1、b = −76 です。
3つ目の方程式は基本の形からまだ遠いですが、これも扱えます。まず右辺に0を「つくります」。両辺に式 12x を足すと、(−12x) + 12x = 0 なので右辺は0になります。方程式全体は次のようになります。
あとはかっこをはずし、x を含む項をまとめるだけです。
この1次方程式は基本の形になり、係数は a = −8、b = 3 です。
最後の方程式では、分数をなくす必要があります。そこで、すべての分母で割り切れる数72を両辺にかけます。
分数を約分します。
左辺は足し算、右辺はかけ算をします。
最後に両辺から 405x と72を引くと、方程式は基本の形になります。
係数は a = −366、b = −72 となりました。
1次方程式の解き方
基本の形の1次方程式は簡単に解けます。3x − 18 = 0 を例に見てみましょう。どんな数から18を引けば0になるでしょうか。もちろん18です。したがって、式 3x − 18 が0になるには、式 3x が18に等しくなければなりません。そうすれば 18 − 18 = 0 になります。式 3x が18になるのはどんなときでしょうか。ちょうど x = 6 のときです。3 · 6 = 18 だからです。
ここから一般的な手順を導きましょう。まず、1次の項 ax が何に等しくなるかを求めます。そのためには、定数項を右辺に移します。つまり両辺に −b を足します。すると ax + b − b = −b、つまり ax = −b の形の方程式が得られます。先ほどの例では 3x − 18 + 18 = 18、つまり 3x = 18 になります。b は b = −18 だったので、−b を足すことは −(−18) を足すこと、つまり +18 を足すことだという点に注意しましょう。
方程式は ax = −b の形になりました。ここから x を求めるにはどうすればよいでしょうか。例では、3をかけると18になる x を探しました。実際に何をしたかというと、18/3 = 6 という割り算です。つまり右辺の式(−b)を a で、例では3で割りました。したがって、ax = −b から次の式が得られます。
最初の例にこの手順をあてはめると、次のようになります。
グラフでの意味
1次方程式を基本の形に直すと、左辺は1次関数になります。1次関数のグラフは直線です。1次方程式の基本の形は ax + b = 0 なので、この方程式の解は、直線(1次関数のグラフ)が x 軸と交わる点です(x 軸は関数 f(x) = 0、つまり右辺のグラフでもあります)。
たとえば、方程式 3x − 18 = 0 の解は x = 6 だとわかりました。これは何を意味するでしょうか。関数 3x − 18 のグラフが x 軸と x = 6 で交わるということです。
方程式 5x + 2 = 2x − 7 をグラフを使って解いてみましょう。どうすればよいでしょうか。方程式を基本の形に直す方法があります。−2x を足すと 3x + 2 = −7 になり、さらに 7 を足すと 3x + 9 = 0 になります。ここで1次関数 y = 3x + 9 のグラフをかき、x 軸と交わる点を調べます。
もう1つの方法は、方程式をまったく変形せず、方程式の両辺にある関数のグラフをかくことです。つまり、関数 f(x) = 5x + 2 と g(x) = 2x − 7 のグラフをかきます。
2本の直線は1点で交わっています。この点を A とします。点 A の x 座標はいくつでしょうか。やはり x = −3 です。このように、方程式 5x + 2 = 2x − 7 をグラフで解くと、解は左辺と右辺の関数のグラフの交点の x 座標になります。
例題
例題1: 方程式 7x − 14 = 0 を解いてみましょう。この方程式は基本の形なので簡単です。手順をあてはめるだけです。
例題2: 方程式 2x + 10 = 0 を解きなさい。これも基本の形ですが、b が正なので、変形すると右辺が負の数になることに注意しましょう。
例題3: 方程式 15 − 3x = 0 を解きなさい。この方程式はほぼ基本の形で、未知数 x を前に出すだけです。すると方程式は −3x + 15 = 0 の形になります。ここでは、これまでとちがって1次の項の前にマイナスがあることに注意しましょう。ただし、変形はまったく同じです。
この例題は、少し遠回りな別の方法でも解けます。両辺をすぐに −3 で割る代わりに、まず両辺に −1 をかけて両方のマイナスをなくします。そのあとで両辺を3で割ります。
例題4: 次の1次方程式を解きなさい。
この方程式には分数があるので、少し複雑です。まず分数をなくす必要があります。いちばんよいのは、すべての分母の最小公倍数を両辺にかけることです。分母は 4 と 2 の2つで、最小公倍数は 4 です。最小公倍数を求めるのが面倒なら、すべての分母の積 4 · 2 = 8 をかけてもかまいません。ただし、そうすると次の段階の計算が面倒になるので、おすすめしません。両辺に4をかけると、順に約分して分数をなくすことができます。
ここで方程式を基本の形 x − 12 = 0 に直すと、x = 12 だとすぐわかります。
例題5(文章題): 健太さんと翔太さんという兄弟がいます。翔太さんは高校を卒業してすぐ働き始めましたが、健太さんは大学に進み、全部で5年間通いました。翔太さんの給料は毎月25万円でした。健太さんはレクリエーション学(専門はデッキチェアで寝そべること)を専攻したにもかかわらず、役所に就職でき、毎月35万円もらえるようになりました。健太さんの稼いだお金の合計が翔太さんと等しくなるのは、何か月後でしょうか。つまり、5年間で翔太さんは 5 · 12 · 250,000 円稼ぎましたが、健太さんは5年たっても一銭も稼いでいません。この差がなくなるのは何か月後でしょうか。
問題文から次のように1次方程式をつくります。変数 x は求める月数を表し、x = 0 は健太さんが大学を卒業した時点(0か月)を表します。
まず、健太さんの収入を月数で表す関数をつくります。たとえば6か月後の健太さんの収入を知りたければ、350,000 · 6 = 2,100,000 円と簡単に計算できます。一般に、x か月後に健太さんが稼いだ合計は 350,000 · x 円です。
翔太さんも同じように 250,000 · x ですが、健太さんが大学にいた間に稼いだ金額を足す必要があります。健太さんは5年間大学に通ったので、その間に翔太さんは 5 · 12 · 250,000 円稼ぎました。したがって、翔太さんの式は 5 · 12 · 250,000 + 250,000 · x になります。
2人の稼ぎが等しくなる x を知りたいので、これらの関数を等号で結びます。
x をすべて一方の辺に移して、方程式を整理します。
最後に 100,000 で割ります。
150か月後に、2人の稼いだお金は等しくなります。翔太さんは健太さんが大学にいた間に 5 · 12 · 250,000 = 15,000,000 円も稼ぎ、さらにその後の150か月で 250,000 · 150 = 37,500,000 円稼いだので、合計は 15,000,000 + 37,500,000 = 52,500,000 円です。健太さんが働いたのはこの150か月だけで、その間に 350,000 · 150 = 52,500,000 円稼ぎました。5年間の大学生活とその後の150か月で、2人はたしかに同じ金額を稼いだことになります。
練習問題
次の1次方程式を解きなさい。
まず、かっこをはずします。
次に、未知数を含む項を左辺に残し、それ以外をすべて右辺に移します。
……最後に2で割ります。
次の方程式を解きなさい。
まず、かっこをはずします。
まとめられる項をまとめ、変数を左辺に、残りを右辺に移します。
最後に両辺を2で割ります。
章: 1次方程式, 分母に未知数を含む1次方程式, 絶対値を含む1次方程式, 文字係数の1次方程式