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関数とは

関数は数学でとても大切な概念で、しっかり理解しておきたいものです。数学のあちこちに関数が出てきます。小学校から知っている記号の多くも、じつは関数を表しています。

関数のたとえ

コーヒーの自動販売機を見たことがあるでしょう。自動販売機の特徴は何でしょうか。お金を入れると、コーヒーが出てくることです。たくさんお金を入れれば、もっと高級なコーヒーが出てきます。

関数は、いわば数学のコーヒーの自動販売機です。関数に何かを入力する(お金を入れる)と、関数は何かを出力します(コーヒーが出てくる)。これが関数の基本的なしくみのすべてです。

関数の役目は、入力として数を受け取り、関数の中でその数に何かの処理をして別の数に変え、その新しい数を出力として返すことです。

基本的な用語

関数にはそれぞれ名前があります。関数の名前としていちばんよく使われるのは、文字「f」です。また、関数がどのようにはたらくのか、つまり自動販売機がどうやってコーヒーをいれるのかを決めるきまりが必要です。手始めに、関数を2列の表として考えてみましょう。1列目には入力(自動販売機なら入れたお金の額)、2列目には関数の出力(コーヒー)を書きます。

入力出力12243648510

出力はいつも入力の2倍になっています。でも、いつもこのようなきまりがあるとはかぎりません。次のような表でもかまいません。

入力出力02212274−3142−45884

ただ、はじめのうちは1つ目の規則正しい表で十分です。この表は関数 f を定めている、と言うことができます。この関数は何をするのでしょうか。関数に何かを入力すると、関数はその入力を表の1列目から探し、同じ行にある出力を返します。3を入れたときの出力を求めるなら、次のように書きます。

f(3)=6

入力が3の行を見つけると、同じ行の出力は6でした。同じように、f(1) = 2, f(2) = 4, f(4) = 8、f(5) = 10 も成り立ちます。数がいくつかだけなら、関数を表で書くのはわかりやすいかもしれません。しかし、たくさんの数をあつかうときには、とても不便です。そこで別の書き方が必要になります。関数を式で表すのです。この表では、出力が入力の2倍になっていました。これを関数の式で書くと、次のようになります。

f(x)=2⋅x

これは簡単な1次関数ですが、いまはそのことは気にしなくてかまいません。この式は何を表しているのでしょうか。文字 f は関数の名前を表します。これはもう知っていますね。かっこの中の文字 x は、関数の変数を表します。自動販売機のたとえでは「入れたお金の額」にあたります。変数には、関数に渡した値が入ります。自動販売機(関数)に100円を入れたとすれば、関数の中では x = 100 となります。そこから先は、自動販売機や関数がこの値を自分のやり方で処理します。

その次に等号があり、等号のあとには関数の式そのものが続きます。これは、受け取った値 x をどうするかを決めています。この関数は、受け取った値 x を2倍します。それだけです。

関数のいろいろな例

右辺には、ほとんどどんな数式でも書けます。別の関数が入っていてもよいし、定義をくわしく決める条件が入っていてもかまいません。たとえば、関数を言葉で次のように決めることもできます。「入力が偶数なら0を返し、入力が奇数なら1を返す」。この関数は1と0しか返しませんが、それでも関数です。

大切なのは、関数はほとんどどのようにでも定められる、ということです。もちろん関数にもきまりはあります。しかし、いまはそれほど重要ではありません。そのきまりの1つは、すぐ次の節で説明します。関数の定義は、ぱっと見て意味がある必要もなければ、規則正しい必要もありません。たとえば、いつも2倍の値を返すけれど、入力が7のときだけは9を返す、という関数でもかまいません。あまり意味はなさそうですが、これも関数です。

数学以外でふだん行う操作の多くも、関数と呼ぶことができます。たとえば「マンモス」という単語の文字数を数えたとします。これは、「単語の長さ」という名前の関数を呼び出し、引数として「マンモス」という単語を渡した、と言えます。関数は単語の文字を数え、出力として4という数を返しました。

借金や住宅ローンの複利で利息がいくらになるかを計算したいとします。これも関数にまかせられます。たとえば10年後の利息の額を計算する関数を定めればよいのです。車があと何kmぐらい走れるかを、残りのガソリンの量から知りたいときはどうでしょう。関数を定めましょう。車がガソリン1 Lで平均11 km走るとすれば、あと何km走れるかを計算する関数は次のように定められます。

走れる距離(x)=11⋅x

ガソリンがあと17 Lしか残っていないなら、関数を次のように呼び出して距離を計算します。

走れる距離(17)=11⋅17=187

要するに関数とは、何かを入力すると、何かの数を返してくれるものです。都市を入力すると東京からの直線距離を返す、アルバムを入力するといちばん長い曲の長さを返す、人を入力すると髪の毛の本数を返す、動物を入力すると足の数を返す、などです。

関数の基本的な性質

表の話にもどると、関数にとってきわめて重要な条件があります。入力の列である1列目に、同じ値が2回出てきてはいけないのです。もし表が次のようになっていたとします。

入力出力12141648510

すると、1を入れたときに関数が何を返せばよいのかわかりません。

f(1)=?

関数ははっきりと定まっていなければなりません。同じ入力に対して2つのちがう結果を返すことがあってはいけないのです。そういうことは許されないのです。関数には、同じ入力に対していつも同じ出力を返すことが求められます。ただし、この条件は2列目、つまり出力には当てはまらないので注意しましょう。出力どうしは同じでもかまいません。次の表は正しい関数を表しています。

入力出力12223242510

関数の値の求め方

関数の各部分の呼び方と、関数をおおまかにどう定めるかがわかりました。ここでは、関数の値を求める手順を順を追って説明します。関数 f(x) = 2x があるとします。この関数に3を入れると、何が起こるでしょうか。関数に3を入れるということは、関数の変数に3を代入するということです。引数は3なので、すべての x に3を代入します。

f(3)=2⋅3

関数が6を出すことがもうわかります。さっきの表と同じです。ただし、表は5つの数しかあつかえませんでしたが、この新しい定義ならほかの数もあつかえます。

f(10)=2⋅10=20f(54)=2⋅54=108f(−7)=−14

このように変数 x に具体的な値を代入する手順を、関数の値を求める、または関数を呼び出す、と言います。関数を適用する、と言うこともあります。たとえば「関数 f を引数5で呼び出す」と言ったら、f(5) の値を求めたいということです。この例では f(5) = 2 · 5 = 10 になります。

あと2つ、覚えておきたい用語があります。関数を呼び出すときに渡すもの(x に代入するもの)を、関数の引数と言います。少しまぎらわしいかもしれませんが、関数 f(x) を3で呼び出して f(3) とするとき、x は関数の変数で、3 は関数の引数です。引数は、関数を呼び出すときの値そのものです。変数は、関数を定めるときに使った元の文字です。これはどちらかというと細かい話です。

もう1つの用語は関数の値で、関数が出力として返す値のことです。さっきの関数は、3で呼び出すと6を返しました。この場合、6が関数の値です。1つの文で言うと「関数 f の点3における値は6である」となります。ここで言う「点」は、ふつう関数の引数のことです。

ふだんの数学に出てくる関数

ふだんの数学には、とても特殊な書き方をするために関数に見えない関数がたくさん出てきます。たとえば絶対値も、じつは関数です。入力として数を受け取り、出力としてその数と同じ数か、符号を逆にした数を返します。

平方根の記号 は知っているでしょう。これも関数です。入力として引数を受け取り、出力としてその平方根を返します。同じように、2乗 x2(累乗)も関数です。入力として数を受け取り、出力としてその数の2乗を返します。

こうした魔法のような記号の多くは、じつはふつうの関数と変わらない、ということを知っておくのは大切です。記号 を、曲がった奇妙な形として見るのではなく、関数として見るようにしましょう。

とくに初心者は、数学の記号がたくさん並んだ式を見ると、何をすればよいのかわからず、とまどうかもしれません。しかし、そうした式も、じつはいくつかの関数を合成しただけなのです。次の例で考えてみましょう。

|x2|!

数学になじみのない人がこれを見たら、首をかしげて、どうすればよいのかよくわからないでしょう。しかし、この式に入っているのは全部で4つのかなり簡単な関数で、変数 x に順に適用されているだけです。名前をつけた関数を入れ子にして書くと、次のようになります。

階乗(平方根(絶対値(2乗(x))))

長くはなりますが、記号に慣れていない人にはこのほうがわかりやすいでしょう。また、関数がどの順番で呼び出されるのかもはっきりします。

関数の書き方のまとめ

関数には名前があり、名前は基本的に何でもかまいません。一般の関数には f という名前をつけることがいちばん多いです。関数にはそれぞれ決まった数の変数があり、名前のあとのかっこの中に書きます。関数 f に変数が2つあるなら、f(x, y) や f(a, b) と書きます。変数の名前は、一般には何でもかまいません。

よく使われる関数には、専用の記号があるものもあります。たとえば平方根には記号 があります。また、sin や sin(x) はサインという関数、|x| は絶対値という関数、x! は階乗という関数です。

変数が1つの関数では、かっこを省くことがあります。式が見やすくなることもあれば、そうでないこともあります。sin(x) も sin x も、サインの正しい書き方です。

関数の変数と言うときは、f(x) の文字 x のことを指します。引数は、関数を呼び出すときの値、つまり x に代入する値です。この2つの用語は、区別されずに使われることもよくあります。関数の値は、関数を呼び出して得られる値です。関数の名前、かっこ、引数の順に書いて表します。関数 f(x) = 2x の変数 x に引数 x = 4 を代入するとき、関数を引数 x = 4 で呼び出した、と言います。このとき関数の値 f(4) は8です。

章: 関数とは, 変数が2つ以上ある関数, 合成関数, 関数のグラフ