三角比
この記事では、三角比(三角関数)をあつかいます。英語の trigonometry(三角法)は、ギリシャ語の「三角形」と「測ること」からできた言葉です。ここでは、サイン、コサイン、タンジェント、コタンジェントの4つをあつかいます。
三角形の基本用語
三角比は三角形の角をあつかうので、この節では三角形に関する用語を復習しておきます。
図の三角形は、頂点 A、B、C でできているので、三角形 ABC です。辺は AB、BC、AC の3つです。これらの辺には、小文字の名前もついていることに注目しましょう。この名前のつけ方にはきまりがあります。頂点 A の向かいにある辺が a、頂点 B の向かいにある辺が b、頂点 C の向かいにある辺が c です。このように、各辺には、向かいにある頂点(その辺に含まれない頂点)と同じ文字の小文字をつけます。
どの三角形にも3つの内角があり、ふつうはギリシャ文字のアルファ α、ベータ β、ガンマ γ で表します。3つの内角の和は、いつも180°になります。ふつうは、頂点 A の角をアルファ、B の角をベータ、C の角をガンマとします。
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三角比はどんな三角形でも何らかの形で使えますが、直角三角形だけをあつかうこともよくあります。直角三角形とは、1つの角が直角、つまり90°である三角形です。たとえば次のような形です。
直角三角形の辺には、特別な名前があります。いちばん長い辺は直角の向かいにあり、斜辺といいます(図の青い辺)。2つの短い辺は、直角をはさむ辺です(赤い辺)。この記事では、おもにこの三角形を考えます。
対辺と隣辺
では、最初の三角比、サインに進みましょう。三角比はすべて、三角形のある角と、2つの辺の長さの比との関係を表します。ふつうは直角ではなく、残りの2つの角を考えます。入力は角の大きさで、出力は2つの辺の比です。どの2辺を使うかによって、サイン、コサイン、タンジェントなどが区別されます。
サインは、対辺と斜辺を使います。ある角に対して、どの辺が隣辺で、どの辺が対辺なのかを、次の図に示します。
図では、角β、つまり頂点 B の角を考えています。黒い辺は斜辺で、これは変わりません。赤い辺 c は、角βに隣り合っているので隣辺です。青い辺 b は、角βの向かいにあるので対辺です。大切なのは、これらの用語がいつも角を基準にして決まる点です。角γから見ると、次のようになります。
サイン
角αのサインは、対辺の長さと斜辺の長さの比に等しくなります。どういうことでしょうか。角αのサインを(たとえば電卓で)計算すると、次の商の値が得られます。
次の三角形の角βで試してみましょう。
きれいな三角形で、辺の長さは |a| = 5、|b| = 3、|c| = 4 です。角βの対辺は辺 b、斜辺は辺 a です。商 b/a、つまり 3/5 を計算すると、0.6 になります。したがって、角βのサインは0.6です。角βの大きさは 36° 52′ で、この角を電卓に入れてサインを計算すると、(少し四捨五入すると)ちょうど0.6になります。結果はサインの計算ツールで確かめられます。
何の役に立つのか
1つの角と1つの辺の長さがわかっていて、残りの辺を求めたいときに役立ちます。
まず、何がわかっているかを書き出します。角αがわかっています。この角のサインは、対辺(辺 a)と斜辺(辺 b)の比に等しくなります。式で書くと、次のようになります。
角のサインはわかっています(計算できます)。辺 a の長さもわかっています。わからないのは、辺 b の長さだけです。そこで、この変数について解きます。まず、方程式の両辺に辺 b の長さをかけます。すると、次の式が得られます。
あとは両辺を sin(α) で割れば、左辺が辺 b の長さになった、求める形が得られます。
辺 a の長さは3です。30°のサインは2分の1です。代入します。
辺 b の長さは6です。
コサイン
コサインは、サインとよく似ています。コサインに関する用語は前の節と同じなので、定義に進みましょう。
角αのコサインは、隣辺の長さと斜辺の長さの比に等しくなります。つまり、電卓で角αのコサインを計算すると、次の商の値が得られます。
サインとコサインのちがいを、次の図にまとめます。
どちらも三角形の斜辺を使います。斜辺は黒いままです。サインは対辺を使います。角αから見ると、赤い辺 BC です。コサインは隣辺を使います。青い辺 AB です。
前の節の例にもどりましょう。そこでは、辺 a の長さから斜辺の長さを求めました。今度は、角αと、前の例で求めた斜辺の長さ b = 6 から、辺 c の長さを求めてみましょう。
何がわかっているでしょうか。角αは30°、辺 b の長さは6で、コサインは隣辺と斜辺の比を表します。隣辺は辺 c で、これが長さを求めたい辺です。式で書きます。
この方程式を |c| について解く必要があります。両辺に辺 b の長さをかければ、右辺には辺 c の長さだけが残ります。
左辺と右辺を入れかえます。
右辺の式は、どれもわかっているか、計算できるものです。30°のコサインはおよそ0.866です(コサインの計算ツールを参照)。方程式に代入します。
これが辺 c の長さです。あとの表にもあるように、30°のコサインの正確な値は次のとおりです。
したがって、さきほどの長さはもっと正確に次のように書けます。
タンジェントとコタンジェント
三角比には、ほかにタンジェントとコタンジェントの2つがあります。これまでの三角比とのおもなちがいは、タンジェントとコタンジェントは直角をはさむ2辺だけを使い、斜辺を使わないことです。
角αのタンジェントは、対辺の長さと隣辺の長さの比に等しくなります。タンジェントは tan と書きます(tg と書く国もあります)。
角αのコタンジェントは、隣辺の長さと対辺の長さの比に等しく、タンジェントの逆数になります。コタンジェントはふつう cot や cotan と書きます。日本の高校では、コタンジェントは使いません。
用語も計算のしかたも、これまでの節と同じです。前の例にもどって、角αの大きさと辺 a の長さ a = 3 だけから、辺 c の長さを求めてみましょう。
タンジェントは対辺と隣辺の比なので、式で書くと次のようになります。
辺 c の長さを求めたいので、この方程式を |c| について解かなければなりません。前の例と同じように、両辺に |c| をかけ、tan(α) で割ります。
右辺に代入します。30°のタンジェントはおよそ0.5773です(タンジェントの計算ツールを参照)。
30°のタンジェントも、正確な値がわかっています。
したがって、さきほどの計算を正確に行うと、次のようになります。
よく使う角の値
サイン、コサイン、タンジェント、コタンジェントは、いくつかのきりのよい角で、きれいな値になります。基本的なものを表にまとめます。
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