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速さの文章題

朝8時、チェコの首都プラハから高速道路D1を通って、1台の車が 90 km/h の速さで出発します。同じ時刻に、反対側のブルノからもう1台の車が 115 km/h の速さで向かってきます。2つの都市の間の高速道路の長さは 205 km です。2台の車はいつ、どこで出会うでしょうか。

速さの問題は毎回見た目がちがいますが、ほとんどは同じ方法で解けます。それぞれの乗り物について時刻 t にどこにいるかを式で表し、両方が同じ場所にいる時刻を求めるのです。どの乗り物も一定の速さで進むので、使うのは等速直線運動の公式と、いつもの問題の解き方だけです。

向かい合って走る2台の車

わかっている量と求める量を書き出します。プラハを出る車には添え字1、ブルノを出る車には添え字2をつけます。

v1=90km/hv2=115km/hs=205kmt= ?x= ?

単位はすべてキロメートルと時間で、まざっていないので、換算する必要はありません。求める時間も「時間」の単位で出てきます。

図をかくとわかりやすくなります。高速道路に沿って x 軸をとり、原点をプラハに置きます。するとブルノは 205 km の位置にあります。

図:高速道路に沿った x 軸。プラハを出た赤い車は速さ v_1 で右へ、ブルノを出た青い車は速さ v_2 で左へ進む

赤い車は軸の正の向きに進むので、その位置は走った道のりそのものです。

x1=v1⋅t

青い車は 205 km の位置から出発し、軸と逆向きに進みます。そのため、位置は1時間ごとに 115 km ずつ小さくなります。

x2=s−v2⋅t

ここでマイナスがつくのは、前に見た家へ帰る途中のグラフが右下がりになったのと同じ理由です。物理学者なら、青い車の速度は −115 km/h だと言うでしょう。ここでは速さをスピードメーターが示すとおり正の値のままにして、向きは式の符号で表します。

2台の車が出会うのは同じ場所にいるとき、つまり x1 = x2 のときです。文字のまま解いてみましょう。

v1⋅t=s−v2⋅t/+v2⋅tv1⋅t+v2⋅t=st⋅(v1+v2)=s/÷(v1+v2)t=sv1+v2

2行目の式は、方程式を使わなくても意味がわかります。v1 · t は赤い車の道のり、v2 · t は青い車の道のりで、2台を合わせると都市の間の距離全体を走ることになります。2台は1時間ごとに 90 km + 115 km = 205 km ずつ近づきます。値を代入しましょう。

t=205km90km/h+115km/h=205km205km/h=1h

単位も合っています。キロメートルを「キロメートル毎時」で割ると時間になります。出会う場所は、この時刻をどちらかの車の位置の式に代入すれば求まります。

x1=90km/h⋅1h=90km

確かめてみましょう。青い車はこのとき 205 km − 115 km = 90 km の位置にいるので、同じ場所です。見当とも合っています。2台が同じ速さなら、ちょうど中間で出会うはずです。ブルノからの車のほうが速いので、出会う場所はプラハ寄りになります。答え:2台の車は9時に、プラハから 90 km の地点で出会います。2台は合わせて1時間に 205 km という勢いで近づいているので、運転手どうしが手を振り合う暇はおそらくないでしょう。

グラフの交点

同じ問題は方程式を使わなくても解けます。前に車とトラックでやったように、2台の車の位置を1つのグラフにかき込みます。

プラハを出た車(赤)とブルノを出た車(青)の位置のグラフ。オレンジ色の交点が、2台がいつどこで出会うかを示す

赤い直線は原点から出発し、傾き 90 km/h で右上がりになります。青い直線は高さ 205 km から始まり、車が軸と逆向きに進むので右下がりになります。ブルノからの車のほうが速いので、青い直線が下がる傾きは、赤い直線が上がる傾きより急です。青い車は、位置が0になるプラハに2時間足らずで着きます。

2本の直線が交わる点では、2台の車が同じ時刻に同じ位置にいます。これが2台の出会いです。オレンジ色の交点から時間軸へ下りると 1 h、左の縦軸へ進むと 90 km と読み取れます。

方程式 x1 = x2 を解くことは、2本の直線の交点を求めることと同じで、図をかくかわりに計算しているだけです。グラフは問題の中で何が起きているかを見せてくれ、すばやく見当をつけられます。方程式なら、交点が目盛りと目盛りの間に来るときでも正確な値が得られます。

追いつく問題

ある町から、自転車が一定の速さ 18 km/h で出発します。その1時間後に、同じ道を車が 54 km/h の速さで出発します。車はいつ、どこで自転車に追いつくでしょうか。

まず、時間をどこから測るかを決めます。いちばん楽なのは、車が出発する瞬間にストップウォッチをスタートさせることです。このとき自転車はすでに1時間走っていて、18 km 先にいます。これが公式 s = s0 + v · t の初めの道のり s0 です。自転車は前にだけ進み、軸の原点から出発したので、初めの道のりは初めの位置と一致します。軸は道に沿ってとり、原点を町に置きます。自転車には添え字1、車には添え字2をつけます。

v1=18km/hv2=54km/hs0=18kmt= ?x= ?

どちらも軸の正の向きに進むので、位置はそれぞれ次のようになります。

x1=s0+v1⋅t,x2=v2⋅t.

車が自転車に追いつくのは、同じ場所にいるとき、つまり x2 = x1 のときです。

v2⋅t=s0+v1⋅t/−v1⋅tt⋅(v2−v1)=s0/÷(v2−v1)t=s0v2−v1

今度は分母に速さの差が来ます。前に車とトラックの差が2台の速さの差の分ずつ広がったのと同じように、車は1時間ごとに自転車との差を 54 km − 18 km = 36 km ずつ縮めます。計算しましょう。

t=18km54km/h−18km/h=18km36km/h=0.5h

車は0.5時間後、つまり 30 min 後に自転車に追いつきます。追いつく場所は車の位置からわかります。

x2=54km/h⋅0.5h=27km

自転車も同じ時刻に 18 km + 18 km/h · 0.5 h = 27 km の位置にいるので、合っています。答え:車は出発してから30分後に、町から 27 km の地点で自転車に追いつきます。

この問題でも位置のグラフをかいてみましょう。今度は、図に小数が出てこないように、時間軸の目盛りを車の出発からの分にします。

自転車(青)と車(赤)の位置のグラフ。時間は車の出発からの分。オレンジ色の交点が、車がいつどこで自転車に追いつくかを示す

自転車の青い直線は、キロポストのそばを通り過ぎた車のグラフと同じように、原点ではなく高さ 18 km から始まります。車の赤い直線は0から始まり、傾きがより急です。2本の直線の縦の間隔が、自転車が先行している距離です。この間隔は1分ごとに小さくなり、30 min、27 km の交点で完全になくなります。交点より先では赤い直線が青い直線より上にあります。車が自転車を追い越して、離れていくのです。

何に答えているのかに注意しましょう。30分は車の出発から測った時間です。自転車はこのときすでに1時間30分こいでいます。自転車の出発からストップウォッチをスタートさせれば、答えは1時間30分になります。どちらも正しく、それぞれの時間を測り始めた瞬間がちがうだけです。だからこそ、答えにはその瞬間を書き添えなければなりません。

公式からは、もう1つのことが読み取れます。車が 18 km/h でしか走らなければ、分母が0になります。0で割ることはできず、車はどこまで行っても自転車に追いつけません。

トンネルを通過する列車

長さ 200 m の列車が、一定の速さ 72 km/h で長さ 1 km のトンネルを通過します。機関車がトンネルに入ってから最後の車両がトンネルを出るまで、列車がトンネルを完全に通り抜けるのにかかる時間を求めましょう。

トンネルの長さを速さで割りたくなります。しかし、ここでは列車を質点とみなしてはいけません。結果を左右するのは列車の長さそのもので、図をかかないと見落としやすいところです。

灰色の破線は先頭がトンネルに入るときの列車、実線は最後尾がトンネルを出るときの列車。どちらの位置でも先頭はオレンジ色、赤は先頭が進む道のり s

列車の1点だけ、機関車の先頭(オレンジ色)を追えば十分です。初めは先頭がトンネルの入口にあります。最後の車両がトンネルを出るとき、先頭は出口から列車の長さ分だけ先にいます。つまり先頭は、トンネルの長さ(青)に列車の長さ(緑)を加えた距離を進んだことになります。

s=1,000m+200m=1,200m

長さはメートルで表されているので、速さをメートル毎秒に換算します。

v=72km/h=723.6m/s=20m/s

時間は道のりを速さで割ったものです。

t=sv=1,200m20m/s=60s

メートルをメートル毎秒で割ると秒になるので、列車は1分でトンネルを通過します。トンネルの長さだけを使うと 50 s になります。しかしその瞬間、機関車はやっとトンネルから出るところで、その後ろの列車はまだトンネルの中です。見当とも合っています。列車は1 kmを50秒で進み、さらに200 mを10秒で進みます。

もう1つ、列車全体がトンネルの中にある時間も計算してみましょう。それが始まるのは最後の車両がトンネルに入った瞬間で、このとき先頭は入口から 200 m 先にいます。終わるのは先頭が出口に着いたときです。先頭が進むのは 1,000 m − 200 m = 800 m で、これには 40 s かかります。今度は列車の長さを引くのです。

流れを下る船と上る船

川を遊覧船が進んでいます。水に対する船の速さは 15 km/h、川の流れの速さは 3 km/h です。36 km 下流の港まで何時間で着き、何時間でもどってくるでしょうか。

船の速さは水に対して測ったものです。船長がエンジンを止めると、船は水に流されて 3 km/h で進みます。いつものように、運動を何に対して測るかが大事です。岸から見ると、流れを下る船は1時間に自分の力で 15 km 進み、そのうえ水にさらに 3 km 運ばれます。船には添え字1、流れには添え字2をつけます。下りにかかる時間は速さを足すので t+、上りにかかる時間は t− と表します。

v1=15km/hv2=3km/hs=36kmt+= ?t−= ?

下りでは速さを足すので、かかる時間は次のとおりです。

t+=sv1+v2=36km18km/h=2h.

上りでは、水が1時間ごとに船を 3 km ずつ押しもどすので、速さを引きます。

t−=sv1−v2=36km12km/h=3h

キロメートルをキロメートル毎時で割ると時間になります。船は港まで2時間で着き、もどるのに3時間かかります。

流れの速さが水に対する船の速さと等しくなると、2つ目の公式の分母が0になります。自転車の後ろを 18 km/h でしか走らない車と同じです。上りの船は岸に対してその場に止まったままで、船長が一日中エンジンを回しても、出発した港には1 mも近づきません。

ここでひっかけ問題です。往復全体で、船の平均の速さはどれだけだったでしょうか。流れは行きに助け、帰りに同じだけじゃまをしたのだから 15 km/h だと答えた人は、行きは60、帰りは40の問題と同じわなにはまっています。船は 5 h で 72 km 進みました。

v¯=72km5h=14.4km/h

上りのほうが2時間ではなく3時間と長くかかったので、平均は遅いほうの速さに近づきました。静かな水面なら、同じ 72 km を 4.8 h、つまり 4 h 48 min で進めます。行きに助け、帰りに同じだけじゃまをする流れは、往復の時間を必ず長くします。

この記事の問題では、車も列車も船もすべて一定の速さで進みました。しかし実際の車は、まず加速して走り出し、目的地の手前ではブレーキをかけなければなりません。速さが変わる運動をどう表すかは、次の記事加速度で見ていきます。