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複素数の極形式

複素数を a + bi の形で書くのが、いつも便利とはかぎりません。そこで、複素数の極形式という書き方も使います。

平面上の点の表し方

複素数平面では、複素数 z = x + yi は1つの点を表します。この点の座標は (x, y) です。座標 (x, y) を書く以外に、点 z を決める方法はあるでしょうか。

点 z と原点を結ぶ線分が x 軸(正確にはその正の部分)となす角を求めることができます。これで、点 z が原点からどの方向にあるかがわかります。正確にどこにあるかを知るには、さらに原点からの距離が必要です。この2つがわかれば、複素数平面上の点 z をきちんと決められます。

極形式

複素数を極形式で表すために知っておく必要があることを、次の図にまとめます。

極形式を求めるために必要なもの

図のように、点 z と原点を結ぶ線分の長さが必要です。これは z の絶対値に等しく、計算のしかたはもうわかっています。さらに、角 φ(偏角)が必要です。複素数の極形式は、次のようになります。

z=|z|(cos⁡φ+isin⁡φ)

角 φ はどうやって求めればよいでしょうか。三角比を使います。ここには直角三角形があり、斜辺の長さ、つまり z の絶対値がわかっています。極形式にはサインもコサインも出てくるので、角 φ をサインとコサインの両方を使って表す必要があります。三角比の定義から、次の式が成り立ちます。

sin⁡φ=y|z|cos⁡φ=x|z|

これらの式から、角 φ そのものを求められます。極形式にはサインとコサインを含めて書くので、角を求めておく必要があるのです。

例題

a + bi の形の複素数 z=3+i を極形式に直しなさい。まず、z の絶対値を計算します。

|z|=3+1=2

すると、次の式が成り立ちます。

sin⁡φ=12cos⁡φ=32

ここで、電卓でアークサインとアークコサインを計算してもよいし、よく使う角の三角比の表を使ってもかまいません。得られた値はどちらも表にある値なので、今回は電卓を使いません。

sin⁡φ=12 なら、角 φ は π/6 か 5π/6 です。cos⁡φ=32 なら、角 φ は π/6 か 11π/6 です。両方に共通するのは角 π/6 で、この角を使えば、前の式に書いた値が得られます。

かけ算と割り算

極形式の複素数も、もちろんかけたり割ったりできます。三角関数の加法定理を使うと、2つの複素数の積と商の公式を導けます。2つの複素数 z1 と z2 を考えます。

z1=|z1|(cos⁡φ1+isin⁡φ1)z2=|z2|(cos⁡φ2+isin⁡φ2)

公式は次のとおりです。

z1⋅z2=|z1|⋅|z2|[cos⁡(φ1+φ2)+isin⁡(φ1+φ2)]z1z2=|z1||z2|[cos⁡(φ1−φ2)+isin⁡(φ1−φ2)]

章: 複素数, 複素数平面, 複素数の極形式