三角形の合同
2つの三角形は、一方を紙から切りとって、もう一方にぴったり重ねられるとき、合同です。切りとった三角形は、平行移動しても、回転しても、裏返してもかまいません。ただし、引きのばしたり縮めたりしてはいけません。
合同な三角形では、対応する辺の長さが等しく、対応する角の大きさも等しくなります。図では、対応する辺を同じ色で示しています。辺 AB は KL と、辺 BC は LM と、辺 AC は KM と同じ長さです。これは次のように書きます。
頂点を書く順番には意味があります。どの頂点がどの頂点に重なるかを表しているのです。A は K に、B は L に、C は M に重なります。
合同条件
三角形には、3つの辺と3つの角の、6つの要素があります。2つの三角形が合同かどうかを見分けるのに、6つすべてを比べる必要はありません。3つで十分ですが、正しく選ばなければなりません。どの3つの組で十分かは、4つの合同条件でわかります。図では、その3つの要素を色で示しています。
3組の辺がそれぞれ等しい: 3組の辺がそれぞれ等しい2つの三角形は合同です。3つの辺から三角形をかく方法を思い出しましょう。点 C は、コンパスでかいた2つの円の交点として求めました。2つの円は辺 AB の上と下の2点で交わりますが、できる2つの三角形は、同じ三角形を裏返したものにすぎません。したがって、3つの辺からは、いつも同じ三角形ができます。
2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい: 2つの辺と、その2辺がはさむ角で十分です。角は、2つの辺が交わる頂点の角でなければなりません。
1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい: 1つの辺と、その辺の両端にある2つの角で十分です。2つの角のもう一方の辺どうしは、ただ1つの点、つまり3つ目の頂点で交わります。
2組の辺と、長いほうの辺の向かいの角がそれぞれ等しい: 2つの辺と、そのうち長いほうの辺の向かいにある角で十分です。(日本の中学校で学ぶ三角形の合同条件は上の3つで、この条件はふつう扱いません。ただし、直角三角形の合同条件「斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい」は、この条件の特別な場合です。斜辺は最も長い辺で、その向かいの角は直角だからです。)
それだけでは足りない場合
どんな3つの要素でも十分だ、といいたくなりますが、そうではありません。
3つの角が等しいだけでは足りません。同じ角をもつ三角形は、写真とその引きのばしのように、いくらでも大きくできます。このような三角形は、形は同じでも大きさがちがいます。これを相似な三角形といいます。
2つの辺と、短いほうの辺の向かいの角でも足りません。そのような三角形をかいてみましょう。まず角 α をかき、その一方の辺の上に辺 c = |AB| をとります。点 C はもう一方の辺の上にあり、点 B から a だけはなれているので、B を中心とする半径 a の円をかきます。a が c より小さいと、円が角の辺と2点で交わることがあります。
三角形 ABC1 と ABC2 は、辺 a、c と角 α が等しいのに、合同ではありません。a が c より大きければ、円は角の辺と1回しか交わりません。これが4つ目の条件の内容です。
例:川の幅
川岸の点 A に立っていて、真向かいの対岸に木 S が生えているとしましょう。巻尺を川の向こうまで張れないとき、川の幅はどうやって調べればよいでしょうか。
川岸にそって歩き、20 m進んだところにくい P を打ちます。さらに20 m進んで点 B まで行きます。そこで川から直角に曲がって、くいと木が重なって見えるところまで歩きます。その場所が点 C です。
三角形 APS と BPC は、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」ので合同です。辺 AP と BP はどちらも20 mです。点 A と点 B の角は直角です。くい P のところの角は対頂角なので、やはり等しくなります。したがって、
となり、辺 BC の長さは辺 AS、つまり川の幅に等しくなります。
点 B から点 C まで36歩で、1歩がおよそ75 cmだったとしましょう。すると、距離 |BC| は次のようになります。
川の幅はおよそ27 mで、しかもぬれずにすみました。
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