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正弦定理と余弦定理

正弦定理は、ふつうの三角比とちがって、一般の三角形で成り立つ定理です。辺の長さと角の関係を表します。余弦定理も一般の三角形で成り立ち、その特別な場合が三平方の定理です。

正弦定理

正弦定理によると、一般の三角形(直角三角形とはかぎりません)では、各辺の長さと、その辺の向かいにある角のサインの比が一定になります。式で書くと、次のようになります。

asin⁡α=bsin⁡β=csin⁡γ=2R,

ここで R は外接円の半径、a、b、c は三角形の辺の長さです。この等式は、次の形に書きかえることもできます。

ab=sin⁡αsin⁡β,bc=sin⁡βsin⁡γ,ca=sin⁡γsin⁡α

余弦定理

余弦定理も、正弦定理と同じく一般の三角形で成り立ちます。余弦定理は次のとおりです。

a2=b2+c2−2bc⋅cos⁡αb2=c2+a2−2ca⋅cos⁡βc2=a2+b2−2ab⋅cos⁡γ

角の1つが直角、つまり90°のときは、式の1つで最後の部分が消えて、三平方の定理の形になることに注目しましょう。α = 90° なら cos(α) = 0 なので、次のようになるからです。

a2=b2+c2−2bc⋅cos⁡αa2=b2+c2−2bc⋅0a2=b2+c2

正弦定理が必要になる例

三角形 ABC があり、辺 c の長さが |c| = 9 だとします。角の大きさは α = 40°, β = 80°, γ = 60° です。残りの2辺の長さはいくつでしょうか。ここでは、ふつうの三角比だけでは足りません。三角比は直角三角形で使うものですが、この三角形はどう見ても直角三角形ではないからです。図は次のとおりです。

辺 a と b の長さを求めなさい

そこで、別の方法が必要になります。その1つが正弦定理です。どのように使えばよいでしょうか。正弦定理によると、次の式が成り立ちます。

|a|sin⁡α=|b|sin⁡β=|c|sin⁡γ

このうち、すべての角と辺 c の長さがわかっています。そこで、辺 b は次の等式から求めます。

|b|sin⁡β=|c|sin⁡γ

この式を辺 b の長さについて解きます。同値変形をして、両辺に角βのサインをかけます。すると、次の式が得られます。

|b|=|c|⋅sin⁡βsin⁡γ

右辺の値は、どれもわかっているか計算で求められます。そこで代入します。

|b|=9⋅0.9850.866=10.23.

残りの辺 a も、まったく同じように求めます。

|a|sin⁡α=|c|sin⁡γ

両辺に角αのサインをかけて、|a| について解きます。

|a|=|c|⋅sin⁡αsin⁡γ

答えを計算します。

|a|=9⋅0.6420.866=6.672

正弦定理の導き方

正弦定理はなぜ成り立つのでしょうか。ふつうの三角形 ABC に、辺 c を底辺とする高さをかき入れて考えてみましょう。

辺 c を底辺とする高さをかき入れた三角形 ABC

求めたいのは線分 CPc の長さです。高さによって、三角形 ABC は2つの直角三角形に分かれ、それぞれを使って高さを表せます。そこで、線分 CPc の長さを、2つの三角形のそれぞれを使って表してみましょう。角αのサインは次のとおりです。

sin⁡(α)=|CPc||AC|

ここから |CPc| について解きます。

|CPc|=sin⁡(α)⋅|AC|=sin⁡(α)⋅|b|.

次に、もう一方の三角形と角βを使って、線分 CPc の長さを表します。

sin⁡(β)=|CPc||BC|

ここからも |CPc| について解きます。

|CPc|=sin⁡(β)⋅|BC|=sin⁡(β)⋅|a|

これで、高さを2通りの式で表せました。

|CPc|=sin⁡(α)⋅|b|=sin⁡(β)⋅|a|,

したがって、次の等式が得られます。

sin⁡(α)⋅|b|=sin⁡(β)⋅|a|.

正弦定理まで、あと少しです。両辺を、角αのサインと角βのサインの積で割ります。

sin⁡(α)⋅|b|=sin⁡(β)⋅|a|/÷(sin⁡(α)⋅sin⁡(β))sin⁡(α)⋅|b|sin⁡(α)⋅sin⁡(β)=sin⁡(β)⋅|a|sin⁡(α)⋅sin⁡(β)/サインを約分|b|sin⁡(β)=|a|sin⁡(α)

ここでは正弦定理の一部を証明しましたが、ほかの辺の組合せについても、まったく同じように証明できます。

章: 三角比, 単位円, 逆三角関数, サイン、コサイン、タンジェント、コタンジェントの性質, 三角関数の公式, 三角関数のグラフ, 正弦定理と余弦定理